活動報告

【活動報告】2024年クラウドファンディング報告「シリアとトルコで875人に教育を届けました!」

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2024年9月〜10月に実施したクラウドファディング「忘れ去られそうなシリアに未来を。教育支援で平和をつくる挑戦!に応援をいただき、本当にありがとうございました。
  

皆様からのご支援のおかげで、シリア北西部のSAKURA幼稚園、トルコ南部のシリア難民向けの補習校で、875人のシリアの子どもたちに教育を届けることができました!

  

(2025年5月、トルコの補習校に通う子どもたちと、先生と)


 

  

クラウドファンディング終了直後の2024年12月、シリアでは旧政権が崩壊し、新体制となるという大きな出来事がありました。
 
その直前には幼稚園がある街の隣で空爆があり、地域全ての教育機関が休校になるなど、大変な時期もあり、また政権崩壊後も混乱の中で、心のケアが必要な状況がありました。
(当団体でも、緊急の心のケアのプロジェクトも実施いたしました)
 

「これは単なる教育ではなく、人生の基礎づくりです」と、幼稚園のスタッフは話します。

困難な状況下でも止まることなく、子どもたちの未来を育むことができたことへの感謝の言葉が届いています。



本日は、クラウドファンディングと、パートナー会員様からの継続的なご寄付を合わせて実現できたことを、最終報告としてお伝えいたします。


 

 

【代表・中野の15年ぶりのシリア訪問】

まずお伝えさせていただきたいこととして、私、代表の中野がシリアに15年ぶりに訪問いたしました(セキュリティには最新の注意を払い、最新の情報収集を元に、シリア人スタッフと共に行動するよう努めました)。

 

ダマスカスのスーク・ハミディーエにて


 

2010年3月に青年海外協力隊としての任期を終えた1年後に、戦争が始まったシリア。

 

「戦争が終われば帰ろう」と思っていたものの、戦争は止まることなく続き、私が住んでいた場所も戦地に。恩人たちのために何かしたい!という思いで、Piece of Syriaを立ち上げて、現在まで活動を続けています。

 

その後も、シリアに入る機会を模索していましたが、治安の問題だけでなく、政治的な複雑さから、入国を断念せざるを得ませんでした。「政権支配地域」「反体制支配地域」「クルド軍支配地域」など、どこの地域に入ったとしても活動に影響が出る可能性があったためです。

 

様々な勢力の攻防があった街で破壊されたままの学校

 

 

私たちは、政治団体ではなく、一人でも多くの現地の子ども達に教育を届けるための教育支援NGOです。活動地としては「反体制派エリア」ではありましたが、現場の子ども達のために活動するため、それを表立って言わないようにしていました。それ以外にも、様々な見えない努力をしてきましたが、表に出すことさえできない難しさと共に、活動を続けてきました。こうしたことなど、アサド政権が崩壊して初めて言えることがたくさんあります。

 

 

このような事情から、実はアサド政権下では、私自身、シリアに入ることができず、実に15年ぶりのシリア訪問となり、支援先の幼稚園にも初めて訪れることができました。今日は、私自身の目で見てきた現地の活動の成果や声をお届けさせていただきます。

 

 

 

【シリア:未来に続く基礎を作る幼稚園の運営】

 

皆様からのご支援で、シリア北西部の、元々「反体制派エリア」とされていた、国内避難民が多く集まる地域で、幼稚園の運営を継続することができました。

 

幼稚園では1年間を通して、午前と午後に分けて、340名の生徒がアラビア語(国語)・理科・算数と言った基礎教育と共に、楽しみながら集団生活を過ごすための心理社会的ケアやアクティビティを提供しています。

 

また、夏休みは、「サマーコース」を実施し  地域で小学校から退学してしまった子ども達や授業についていくのに苦労している小学1年生、それぞれ150人ずつ(計300人)を受け入れています。

 

サマーコースの様子

 

 

幼稚園はアレッポから1時間ほど西に向かったテルマニーンという町にあります。

訪れると、午前シフトの生徒達がダンスとスピーチでお出迎えしてくれました。

 


 

 

先生達と話しながら、教室を見学。

 

子ども達が「幼稚園が大好き!」と話すのも納得するくらいに、かわいく飾りつけられた教室で、子ども達が学んでいます。

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午前シフトが終わり、午後の生徒を迎えに行く通園バスに同乗しました。

街の雰囲気を感じながら、乗り込んでくる生徒達に挨拶をします。

 

 

午後の授業の最初は、生徒が遊具のある広場に集まって体操をし、体操が終わると子ども達は各教室へ。こちらでも教室を見学をさせていただき、その後、園長先生へのインタビューも行いました。

 

 

 

  

  

また、物作りのアクティビティを見学していると、自分たちの作品をプレゼントしてくれる子ども達に囲まれました。

「ぜひ、支援してくださった方に、現場でこの体験をしてほしい!」と心から感じる、胸が熱くなる時間でした。

 

 

 

最後は、子ども達からもプレゼントをもらいました!

 

 

 

現場で頑張ってくれてる幼稚園の先生からは、感謝の言葉と共に、幼稚園が生み出した成果について、このように話してくれました。

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【トルコ:いつか母国に帰る日のために学ぶ母国語】

トルコ南部の、シリア国境近くの街、ガズィアンティップでは、6〜15歳のシリア人生徒235人を対象に、補習校の運営を実施することができました。

 

補習校では母国の言葉や歴史・文化を知らないシリア人の生徒のために、アラビア語の授業や、アラビア語で算数を学ぶ授業、シリアの歴史や文化を学ぶための授業や博物館訪問などのアクティビティを実施しています。

 

アラビア語の読み書きが学べる機会はほとんどないため、補習校は重要

 

 

戦争が13年も続いた結果、トルコで育つシリアの子ども達にとっての第一言語が「トルコ語」となっています。しかし、「いつかシリアに帰るかもしれない」(そうでなくても強制的な帰国の事例もありました)という中で、アラビア語を学ぶニーズは非常に高いものでした。

 

2024年12月のアサド政権崩壊は、それを加速させるものになり、現在、トルコからシリアに向かう国境には長蛇の列ができているそうです。

 

2024年12月、アサド政権崩壊してすぐの補習校の様子

 

 

私が補習校を訪れた時に、通訳をしてくれたのは英語が話せる先生の娘さんでした。高校一年生の彼女にとっても、トルコ語がメインの言語で、このままトルコの大学に進みたい、と話していました。とはいえ、家庭ではアラビア語を話すので、会話は問題なく、今回、僕が聞き取れなかったアラビア語は、彼女が英語で翻訳をしてくれました。

 

 

 

補習校として使っている建物は、平日は自治体が使っている公民館にあたる場所で、補習校は土日に家賃無料で使わせていただいている形です(そのため、先生達のお給料と、筆記用具のみに経費を抑えることができています)。補習校に通う生徒達は、平日はトルコの学校に行き、土日に補習校でアラビア語を学びます。

  

 

教室を訪れると、アラビア語で挨拶をしてくれ、生徒さんからの質問もアラビア語で。

ホワイトボードは、算数の授業をアラビア語で実施しているところでした。

 

アラビア語で算数を学ぶ授業

 

 

生徒達に、将来の夢を尋ねると、教師、医師、歯科医が人気で、他にも、美容師、ファッションデザイナー、ゲーマー、YouTuber、ジャーナリスト、サッカー選手という声や、TikTokで1000人以上のフォロワーがいる生徒や、オンラインでグラフィックを学んでいる生徒もいました。

 

 

 

シリアに帰る予定があるかを教室で聞くと、7割の生徒が手を挙げていました。すでにシリアに帰国した生徒の家族もいるため、ウェティングリストにいた生徒達が入学しているものの、定員より少ない人数になっているのが現状です。

 

シリアに帰ることを躊躇する理由のひとつが、シリアに帰った時に子ども達が学校の授業についていけるかどうか、ということも挙げられています。補習校に通ったことで、帰国の決心ができた、という声が届いています。

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シリア人スタッフの大半も、シリアへの帰還を検討しています。

また、トルコからだけでなく、世界中からシリアに戻る動きが、今夏、大きくなる予測があり、こうした状況を鑑み、補習校についてはトルコからシリアに移転する予定にしています。

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皆様からお預かりした、シリアの幼稚園・トルコの補習校支援のために大切に活用させていただき、幼稚園 340名、サマーコース 300名、補習校 235名に教育を届けることができました。

 

 

 

<収入>  約1528万円(2024年10月〜2025年5月)

 クラウドファンディング 1071万円

 継続のご寄付          337万円

 単発のご寄付        120万円

 

<支出>  約1615万円(2024年9月〜2025年8月運営分)

 シリアの幼稚園      $ 71,024(約1050万円)

 トルコの補習校      $ 26,200(約 400万円)
 プラットフォーム手数料         165万円


※不足分は昨年からの繰越金などから補填しております。

これ以外にも、校舎の修復や文化事業に関わる助成金事業などを実施しています。

団体の収支につきましては報告書にて、詳細を記載しておりますので、下記リンクを是非ご参照ください。

https://piece-of-syria.org/data/media/piece_of_syria/page/about/houkoku2024.pdf

 

 

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【私たちのこれから:言葉と心と文化で、未来を創る土台を】

皆様からのご支援で、教育支援で平和をつくる挑戦を実施することができました。

改めまして、本当にありがとうございます。


しかしながら、シリアでは約245万人の子どもが学校に通えていない状況にあります。また、戦争や避難で「勉強したことがない」子どもたちや、難民・避難民先から帰還して、言語やカリキュラムの違いで授業に馴染めない子どもたちも多くいます。


そこで、これから私たちは、

  • シリア国内での、学校に復帰するための補習校の運営
  • 平和と復興の土台を創るシリアの文化教材の作成
  • 先生たちの育成プログラム

などを通じて、持続的な支援の仕組みづくりに取り組んでいきます。

 

 

私たちは支援者の皆さまを「遠くにいるもう一人の先生」だと感じています。
どうか、これからも一緒に子どもたちの未来を育ててください。

 

 

📌 継続的なご支援を検討いただける方は、こちらをご覧ください
▶︎ https://piece-of-syria.org/partner01.html

 

 

 

 


長文となりましたが、それでも書ききれないほどの活動が、皆様からのご支援で実現することができました。本当にありがとうございました!

 

<活動報告会のご案内>

最新のシリア情勢や活動について、下記で報告いたします。

ご都合が合えば、是非ご参加くださいませ。

 

【7/24】Piece of Syria活動説明会|

教育で平和なシリアの未来を創る〜最新のシリア訪問から見えた「これから」の私たち〜

【日時】7月24日(木)20:00-21:30

【申込】https://syria202507.peatix.com

 

 


【インターン・プロボノ募集中】

シリアの平和な未来のために、私たちと一緒に活動してくださる方を募集しています。SNS運用や広報、プロジェクトサポートなど、得意分野を活かせる形での参画が可能です。高校生、大学生、大学院生、社会人、育休中の方から、現役NGOスタッフまでが参加してくださっています!全国だけでなく、世界中から活動中です。

▼オンライン説明会
 7月2日(水)21:00-22:00

 7月5日(土)14:00-15:00


【詳細】https://piece-of-syria.org/news/info/intern2025.html

 (上記の説明会にご参加できない方も、ぜひ詳細をご確認ください!)

 

 

■ 継続的な支援で支えるシリアの教育

こうした私たちの活動は、皆さまからのご寄付によって支えられています。
戦争や地震からの復興には、長期的な支援が必要です。皆さまからのご寄付は、
シリアの子ども達の教育支援に広く活用させていただきます。
 

<平和なシリアの担い手を支える教育支援>

※1日100円を継続的にご支援いただくことで、シリアの子ども1人に教育を安定して届けることができます



 

  

匿名でのご支援 → 寄付ページの下記に詳細

 

 

また、団体が実施している活動やイベントの最新情報はSNSで発信していきますので、ぜひフォローをお願いいたします! 

【各種SNS】

📒Xアカウント:https://x.com/piece_of_syria

📔Instagramアカウント:https://www.instagram.com/piece.of.syria/

📒Facebookアカウント:https://www.facebook.com/piece.of.syria/?locale=ja_JP

 

最新のお知らせ

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