Posted at 15:12h
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へむり。
by PiS
アッサラームアライクム!
Piece of Syriaのへむりです。
東京で定期開催されている、シリア難民をサポートする「タリィカフェ」に初めて参加してまいりました。
今月は、トルコ・レバノンで難民支援をしてらっしゃるパルシックさんのお話でした。
先日もパルシックさんのお話は伺ったですが、前回はトルコの状況で、
今回はレバノンの状況と支援活動についてです。
レバノンは、現在、レバノン政府によって難民流入の制限と定住の阻止が行われてます。
レバノンには公式な難民キャンプはなく、全て非公式です。
定住化を防ぐために、住居にしっかりした建材を使うことを禁止なのですが、
「難民キャンプ」の土地に家賃(地代)は必要ですし、
強制退去も頻発しているそうです。
Parcicホームページより "Winterization for Syrian refugees in Lebanon"
女性世帯は19%、人口の55%は18歳以下で、
働き盛りの男性でも就労機会が限られている中で、
そうした人たちは厳しい立場にあります。
また滞在許可証は毎年の更新が必要(更新料200$)ですが、
79%が許可証なしで、そのために教育・就労・移動が限られているとのことです。
レバノンはもともとパレスチナ難民も多く受け入れており、
加えてシリア難民の流入は約100万人で、人口の4〜5分の一がシリア難民と言われています。
国民人口当たりの難民数は世界一です。
[caption id="attachment_17099" align="alignnone" width="960"] Statista "Lebanon Has By Far The Most Refugees Per 1,000 Population"[/caption]
シリア国境に近い難民キャンプで、パルシックさんは教育事業や越冬支援を行なっています。
スタッフのシリア人が、パルシックのスタッフに伝えた言葉が印象的でした。
「あなたは、私たちを”○○万人のシリア人”ではなく、
一人ひとりの名前を持ったシリア人として扱ってくれた」
数を重視し、大きく活動する団体も必要だし、
一人ひとりの心に寄り添いながら活動することもまた必要だと、僕は思います。
こちらの募金は終わっていますが、給食支援を現在実施中です。
お中元など、ギフトにこうした贈り物を選ぶというのも、
私たちが取り組みやすいサポートの形だと思います。
[caption id="attachment_17106" align="alignnone" width="400"] 僕が2016年12月に訪れたレバノンにて[/caption]
http://piece-of-syria.org/2016/12/23/071528/
私たちPiece of Syriaも引き続き、シリア国内の教育支援事業を継続していきます。
スタッフそれぞれが自身の仕事をしながらの活動をしている中で、
発信がしばらく滞っていましたことを、申し訳なく思っています。
現在、組織をしっかりとしたものにしながら、
皆様と現地をつなぐ役割を持って、大切に未来に希望を紡ぐ活動に向けて、
準備を重ねております。
今後とも、何卒よろしくお願いいたします。
・ネットでのご寄付
・銀行口座でのお振込
ゆうちょ口座 ピースオブシリア
店名 408(ヨンゼロハチ)
普通 4328753
※お手数ではございますが、報告書や報告会のご案内を送らせて頂きますので、
お振込みの場合は
・メッセージ、DM
・メール(piece.of.syria@gmail.com)
・問い合わせ(http://piece-of-syria.org/contact/)
まで、ご一報くださいませ。
#僕らは微力だけど無力じゃない
#ピースオブシリア#シリア#教育支援
...
Posted at 00:09h
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へむり。
by PiS
アッサラームアライクム!
Piece of Syriaのへむりです。
先日、トルコ・レバノンで、シリア難民支援の活動をしてい特定認定NPO法人パルシックさんの活動報告会に参加してきました。
僕もトルコに行った際に、事務所を訪問し、
今回報告をされていた高田さんや、現地事務所代表の方からお話を伺うなど、
本当にお世話になった団体です。
[caption id="attachment_17041" align="alignnone" width="400"] トルコ南部の町には、シリアの人のお店が並ぶ[/caption]
トルコ南部のガゼィアンティップという町の近く、シリア国境の近くにある農村地の子ども達に対する「子ども保護事業」をされています。
教育というよりは「発達」に特化した移動式のレクリエーション活動だそうで、
現場に立ち続けるからこそ気付ける視点は、本当に勉強になりました。
(※トルコ政府が、海外NGOのシリア難民向けの「教育」事業を禁じている)
[caption id="attachment_17051" align="alignnone" width="400"] パルシックHP「シリア難民の子どもや保護者の希望を育むチャイルドフレンドリースペース活動」より[/caption]
戦争を通じて、今、シリアの子ども達の心にどのような影響が起こっているのか。
例えば、トラウマによる記憶力、集中力や注意力の欠如、
同世代の友人達がいないことによるコミュニケーション能力や自己表現力の低下、
日雇いで稼げるから、子どもに働いてもらいたいという実情、など。
[caption id="attachment_17040" align="alignnone" width="400"] シリア国境近くの町までのバスが出ているガズィアンティップのマーケット[/caption]
また大きな支援団体が「ドナー視点」で「成果=数」となりがちで、
支援活動が、アクセスのしやすい町中心になってしまうこと、
かつ、遠隔農村部では、農作物の時期に合わせて日雇いで農業の仕事を選ぶので、
定住せずに、サポートがしにくい。
だからこそ、「本当に困っている人に届ける」という視点で、
パルシックでは、あえて難しい農村部での活動をしてらっしゃいます。
[caption id="attachment_17039" align="alignnone" width="400"] ガズィアンティップの街角[/caption]
現地で訪問をした時も感じましたが、僕の大好きな視点の活動です。
僕のシリアでの協力隊時代も、周りが保健センターでの活動を中心とする中、
「保健センターに来れない人たちに、健康情報を届けるようにするには?」という視点で、
学校やモスクなどと協働するように動いていました。
僕の活動が結果として成功例だったと言って良いかは分かりませんが・・・。
[caption id="attachment_17044" align="alignnone" width="400"] 他地域の活動を紹介するチラシを作り、他の地域の参考になれば・・・[/caption]
「難しいですよね」
とおっしゃっていましたが、その挑戦、
そして、一人ひとりにフォーカスを当てて生まれている「成果」はとても刺激になりました。
現在、高田さんはパルシックを離れ、ご自身で団体を立ち上げてらっしゃいます。
その理由は、「もう他人事じゃないんですよね」という想いだそうです。
高田さんの団体 【Hopeful touch】
僕らもできることを精一杯、行動し続けて行きます。
写真展や報告会なども積極的に行なっていきますので、
どうぞ宜しくお願いいたします!
お中元にパルシックさんのフェアトレード商品はいかがでしょうか?
【Piece of Syriaの活動】
http://piece-of-syria.org/2018/06/08/6-23(土)写真展@日常ヲ愛サnight/
...
Posted at 20:10h
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へむり。
by PiS
アッサラームアライクム!
Piece of Syriaのへむりです。
①では、シリア国内の「勢力図」の変化について、
②では、シリア国内における「生活面」の変化について、
③では、アサド政権に関するシリアの人たちの心についてをお話してきました。
今回は、シリアの人たちの仕事についてお話し致します。
ただ、今までと同様に、これも僕の経験に基づいた「ある時点の、一つの視点」としてのもので、
これが全てではありませんし、時期により変化しますし、統計的なものではないことはご留意ください。
[caption id="attachment_16129" align="alignnone" width="1024"] シリア南部の町の肉市場[/caption]
● 紛争前の田舎の人たちの働き方
「なんのために、仕事をしていますか?」
と、聞かれたら、あなたはなんと答えますか?
きっと、どんな答えも正解だと僕は思っていますが、シリアで体験した仕事にまつわる話をします。
2008年。「シリアといえば、安全すぎて平和ボケをしてしまう国だ」と僕が常々言っている時期の話です。
住み始めたばかりの家で、シャワーの給湯器が壊れてしまいました。
直してもらおうと、大家さんのところに行きました。
大家さんは、修理する人に電話して、しばらく話したあとに僕に言います。
「今日は行けないんだそうだ。ブクラ(明日)な」と。
そして、翌日、再び大家さんのところに行きますが、またも「ブクラ」という返事。
昼間は暑く、水シャワーでも耐えられなくはないですが、さらに翌日もとなると、ちょっとひどい。
「昨日のブクラは今日だ!」と怒って、「そもそもどうして来れないんだ?」と理由を尋ねました。
すると、修理工の答えが、「今、家族とご飯を食べている」・・・と。
まだ昼過ぎ・・・。彼らにとって、仕事とは、家族のためにすることです。
だけど、仕事と家族との時間を天秤にかけた答えは、いつも家族なのでした。
ゆっくりと、家族とご飯食べてからで良いから、とお願いして、なんとか来てもらいましたが、
仕事よりも家族を優先する姿勢は、シリアに住んでいるとよく感じました。
● 紛争前の失業率
田舎は仕事が少なかったようです。
僕の通っていたシリアの村では、若い男達は出稼ぎに行って、男性は子どもと老人たちだけで、あとは女性達しかいない家もちょくちょく見ました。
なんせ田舎ですので、女子しかいない家に、親戚でもない他人が入るのはよろしくないのですが、
村に入り浸って、信頼を勝ち取った外国人の僕はどうやら例外のようでした。
ヒジャーブを頭に被った若い女の子たちの女子会に手招きされて、
「誰が一番カワイイ?」なんて聞かれることも・・・。
男たちは、国内の都市や海外へ出稼ぎに行きます。
僕がいた当時、人気だったのはギリシャで、建築に関わる肉体労働で、国内の10倍の給料を得られる、と言っていました。
他にも湾岸諸国やエジプト・レバノンなどもありましたが、トルコは「仕事がない」という理由で出稼ぎに行く人はほぼいなかったです。
そんなトルコが今、最もシリア難民が住む国になっています。
また、公務員である学校の先生たちが副業をしている姿をよく見ました。
塾や文房具屋さんを経営していたり、薬局でアルバイトしていたり。
学校は午前か午後に分かれていて(午前が小学校、午後が中高になっていたりします)、
その空いている時間を利用して、副業をしていました。
なので、決して「失業率が低かった」とは言えません。
ですが、出稼ぎで半年ほど働いて、田舎に大きな家と外車を買って、半年の間は家族とのんびり暮らす、という『デュアルライフ』を送ることは、難しい選択肢ではないようでした。
また以前、お話ししたように、物価自体が安かったこと、教育・医療にお金がかからないこと、原油高騰をしたときも政府から配給や給料アップがあることなどから、彼らから生活苦を感じることは一度もありませんでした。
[caption id="attachment_16130" align="alignnone" width="1024"] 村で開かれていた塾。経営していたのは学校の先生。[/caption]
● 戦争が奪った日常
「借金があるんだ」と、シリアに住む友人からメッセージがありました。
その額は、戦前のシリアの平均月収の20ヶ月分。
僕にとっても安い金額ではありません。
長引く戦争で、シリア国内の物価が10倍になっています。
その結果、日々生きることにかかるお金が足りていないのです。
家族のいる日本人が、月収3〜4万円で生活することをイメージしてもらえれば、その大変さが身近に感じられるのではないでしょうか?
結果、彼らは国外で働いて、国内へ仕送りをしたり、借金をしながらの生活を余儀なくされています。
ある人からは「家族を養うために、ダーイッシュ(IS)の兵士になる人もいたよ」と聞きました。
物価が高騰し、給料が出ないような、困窮した国内での生活の中で、
海外からお金が援助されているとされる、ダーイッシュなどの武装勢力の兵士になることは、
「生活のため」「家族のため」にお金を稼ぐ、ひとつの手段でもあったのです。
[caption id="attachment_16133" align="alignnone" width="1024"] トルコ南部のあおぞら市場。トルコ語とアラビア語が書かれている。[/caption]
● 中東の難民キャンプには、難民がいない。
トルコで出会ったシリア人が僕に言いました。
「家族とは数年、会えてない。俺たちがここで稼いで送金しないといけないから帰れもしない。
そして、この国で、俺たちの立場は安定していない。政府次第で、働けなくなるかもしれない」
シリア人が最も多く住むトルコには、シリア難民の支援活動をしている国際協力団体が非常に多くあります。
その国際協力団体で働くシリア人の給料は、トルコのレストラン等で働く給料の数倍と言われ、
また、その活動自体に意義と魅力を感じる人も多く、 「最も人気な就職先」です。
しかしながら、2017年6月に訪れた際に聞いたのは、
「数ヶ月前から、非常に有名な国際協力団体を含めたシリア支援団体が、トルコで活動できなくなった」という情報でした。
国際協力団体を通じて、テロ組織や武装勢力にお金が流れているのではないか?という疑いがあったためだとされています。
また、教育に関わる支援活動にも制限ができたとも聞きました。
学校も、シリア人によるアラビア語での授業がなくなり、トルコ語での授業だけになっていくそうです。
トルコでは、シリアから逃げてきた人たちのことを「難民」と表現しません。
「ゲスト」と言うそうです。
「難民」と認定すると、保護の義務が生じるからです。
ヨーロッパで「難民」と認定されると、語学の研修や家の補助、社会保障などに加えて、数年住むことで国籍を得られるなどの保護が得られます。
トルコ・レバノン・ヨルダン・イラクなどでは、そうした保護がありません。
(食料やテントなど、人道的な面での保護はしています)
なので、そうした国々にある「難民キャンプ」にいる人たち、「都市難民」と言われる人たちは、
正確には難民ではなく、立場的には「Asylum Seeker」(≒亡命希望者)と言われています。
こうした状況の中で、「自分たちの子どもには、このような不安定な立場でいてほしくない」と、
死を覚悟して海を越え、ヨーロッパに向かう人たちが多くいたのです。
[caption id="attachment_16132" align="alignnone" width="1024"] 難民キャンプ内には八百屋、雑貨屋、仕立て屋、携帯ショップなどもある[/caption]
● 各国の「難民」の仕事事情
難民でもない彼らは不安定な中で、仕事を探しています。
トルコでは、仕事ができるとは言え、状況が二転三転します。
また、シリア人を雇う場合、その3〜5倍の数にトルコ人を雇う義務が課せられていると聞きました。
ヨルダンでは、シリア難民の労働が認められていません。
隠れて非合法に仕事をしたり、バレにくい子ども達に働いてもらうようせざるを得ませんでした。
この理由の一つに「エジプトからの出稼ぎ労働者に発給する労働ビザ」が国家の収入になっているから、という話を聞きました。
イラク北部の難民キャンプでは、キャンプの入口に車がやってきて、
「工事現場での仕事、5人」などと言って日雇いの仕事をする人を探していました。
僕が泊まったアルビルのホテルにも、シリア人が2人、働いていましたので、仕事はできるようです。
レバノンでは、難民となっている人たちとは会っていませんが、
シリアに住んでいた時の村の友人達が「出稼ぎ」という立場で住んでいまして、
その友人は、レバノンの村役場に行って、仕事を斡旋してもらっていました。
[caption id="attachment_16131" align="alignnone" width="1024"] 不発弾は地雷になってしまう。子ども達が誤って触らないようにする教育が必要[/caption]
● 戦争が終わる日を望んで
戦争は「当たり前の中にある幸せ」を奪っていきます。
家族と共にいること。
仕事より優先して、毎日のご飯を一緒に食べること。
そんな「毎日の当たり前の中にあった幸せ」を、
「叶わない夢だ」と言わせてしまうものが、シリアで起こっている戦争です。
今もなお、戦闘状態は続いていますし、
この先、どうなっていくかは、本当にわかりません。
「そんなシリアの人たちのために、できることがありますか?」と聞かれた時、
僕が伝えていることのひとつは、「あなたの大切な人を大切にしてほしい」ということです。
そして、余裕があれば、
僕らや、シリアの人たちのために行動している団体のイベントに足を運んでもらったり、
無理のない範囲で、寄付をしてもらって、活動を応援してもらえたら嬉しく思います。
僕が実際に活動を見て来た団体のリンクも貼っておきますので、ご参考にしてもらえればと思います。
サダーカ
シリアで活動していた青年海外協力隊を中心に活動。日本のシリア支援団体のまとめ役。
戦争を止めることを目指した啓蒙活動を行なうほか、ヨルダンのシリア人家庭をサポート。
国会議員向けの勉強会や、シリア人の受け入れに伴う、大学同士の連携を作ってらっしゃいます。
パルシック
トルコ南部の村々を中心に、現地の人目線での活動を行なっており、規模は小さいけれど、他の団体と連携しながら、今だけでなく未来につながる自立支援を実施しています。新たに、レバノンでも事務所を開いて、活動を開始してらっしゃいます。
JIM-NET
医療系のNGOで、イラクを中心に活動。ヨルダンでも障害者支援や障害者スポーツなどを実施。一人ひとりの命に向き合った活動が印象的。子ども達のアート作品を用いたチョコレート募金など、スポーツ・アートを交えた活動をしてらっしゃいます。
AAR
トルコ南部で、コミュニティセンターを作り、学びの場・憩いの場を生み出したり、イスタンブールの都市難民支援やギリシャでも活動されています。僕が訪れた際に、働くシリア人スタッフが「ここで働くことが誇りだ」と言っていたのが印象に残っています。
KnK
ヨルダンの教育支援を行なっており、ヨルダン人とシリア人の子ども達同士で交流できる場を作ったり、ザータリ難民キャンプ内でイベントを行なったり、心に寄り添う支援をされていらっしゃいます。
Watan
シリア人が作っているトルコ南部にあるNGO。トルコだけでなく、シリア国内の教育支援、食料支援、医療支援など、多岐にわたる支援を提供しておられます。
僕たちも8月11日(金)に大阪でイベントを致します。
募金も受け付けておりますので、是非、宜しくお願い致します。
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