2025年2月22日(土)、NPO法人earth treeの加藤 大地氏と、Piece of Syriaの中野 貴行が対談し、戦争後の社会における教育の役割について語りました。
本イベントでは、カンボジアの教育再建の歴史を振り返りながら、シリアの教育復興に向けた課題と可能性について深く掘り下げました。
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カンボジアはポル・ポト政権時代(1975〜79年)に知識人の多くを失い、教育環境が壊滅的な状況に陥りました。
しかし、2000年代以降、少しずつ教育が再建され、現在では小学校の普及が進んでいます。ただし、中等教育以上になると教員不足や教育の質の低さが課題となり、まだまだ発展途上の部分も多いのが現状です。
一方、シリアは2011年からの内戦で多くの学校が破壊され、教育が中断されてきました。
中野は「シリアの教育復興には時間がかかるが、今こそ支援が必要」と語り、現在の活動について紹介しました。
Piece of Syriaでは、学校の再建だけでなく、教育に戻るためのサポートや、トラウマを抱えた子どもたちの心のケアにも力を入れています。
カンボジアが教育復興に成功しつつある理由のひとつは、教育の重要性を社会全体が認識し、長期的な視点で取り組んできたことです。
カンボジアの経験から、シリアの教育復興には以下のようなポイントが重要であると考えられます。
✅ 教育の再建には時間がかかる
戦争後の社会では、ハード(校舎)とソフト(教師・教育内容)の両面を整える必要があり、そのためには世代を超えた長期的な取り組みが求められます。
✅ 学校があるだけでは不十分
カンボジアでは、朝の給食提供や幼稚園教育の拡充によって、子どもが継続的に学べる環境を整えました。シリアでも、単に校舎を作るだけでなく、心理的ケアや生活支援を組み合わせることが大切です。
✅ 教育の内容が未来を決める
カンボジアでは、教育の質が課題となっており、特に都市と農村での学習内容の格差が問題になっています。シリアでも、単に学校を再開するだけでなく、未来を切り開くための教育の質を高めることが求められます。
✅ 文化を守ることが希望につながる
カンボジアでもシリアでも、戦争によって文化が破壊され、アイデンティティの喪失が大きな問題となっています。文化教育を取り入れることで、自国の誇りを取り戻し、復興の意志を育てることが重要です。
💡 教育の「質」が未来をつくる
戦争によって失われたのは学校や教員だけでなく、学ぶべき内容そのものも含まれます。「ただ学校を建てるだけではなく、何を教えるかが重要だと改めて実感しました。」
🌱 文化の継承が希望になる
カンボジアでは竹建築を活用した学校づくりが進められており、これが地域に根ざした持続可能な形になっています。「国ごとにその土地の文化や風土を活かした取り組みが必要であり、それが希望につながるのではないかと感じました。」
🗣 双方向の対話だからこそ深まる学び
一方通行の講義形式ではなく、お二人の掛け合いやコメントを拾いながら進行されたことで、「自分ごと」として考えることができました。日本の先生の中には「こんな授業を自分もつくっていきたい!」と感じた方も多かったのではないでしょうか。
💭 無力感の中でも「できること」はある
「国際協力の現場から離れ、自分のやってきたことが本当に良かったのか疑問に思うことが多かった。でも、お二人の話を聞いて、一人の日本人としてできることを少しずつやっていきたいと勇気をもらいました。」
🏫 学校が成り立つためには多くの要素が必要
学校という建物、先生、教材、安全に通学できる環境…。教育が成り立つためには様々な要素が必要であり、「シリアの教育復興はまだこれから。今こそ支援が必要なのだと強く感じました。」
教育は、一朝一夕で復興できるものではありません。しかし、「今できることを続けることが、未来につながる」と、伝わるイベントでした。
シリアやカンボジアの教育復興を支援したい方は、ぜひPiece of Syriaやearth treeの活動をチェックし、一歩を踏み出してみてください。
🔗 earth tree:公式サイト