シリアの首都・ダマスカスにある国立博物館で先週、世界最古のアルファベットの一つ、「ウガリット文字」や、現存する最古の楽譜のひとつなど、貴重な考古学資料の特別展示が始まりました。
これらが一般公開されるのは、およそ15年ぶりです。

▲国立博物館(出典:https://www.tripadvisor.com/Attractions-g294011-Activities-Damascus.html)
展示のテーマは、「記号から文字へ」。
人類がどのように“記録する”ことを始めたのか、その歴史をたどる内容となっています。
会場には、古代都市エブラ、マリ、ウガリット、パルミラなど、シリア各地の古代文明に関する資料が並びました。
展示品からは、当時の人々が交易や宗教、行政、音楽などをどのように記録していたのかを知ることができます。
特に注目されているのが、シリア沿岸の古代都市ウガリットで発見された「ウガリット文字」。
これは紀元前1400年ごろのものとされ、世界最古のアルファベットの一つとして知られています。
限られた数の文字で音を書き表すという考え方は、その後の文字文化にも大きな影響を与えました。

▲(画像はイメージです)
また、同じくウガリットで発見された粘土板には、現存する最古の楽譜のひとつも記されています。
そこには神々への賛歌と、竪琴のような楽器の演奏方法が刻まれており、古代シリアが音楽文化の面でも重要な役割を果たしていたことがわかります。
今回の展示は、単に「古いもの」を並べるだけではありません。
人類がどのように考えを記録し、音楽を残し、歴史を受け継いできたのか――その原点を感じられる展示となっています。
シリアは、戦争や破壊のイメージで語られることも少なくありません。
しかし同時に、文字や音楽、知識の保存といった、人類の文化の基盤を育んできた土地でもあるのです。
ダマスカス国立博物館は、そうしたシリアの長い歴史と文化を今に伝える重要な場所です。
今回の特別展示は、シリアが文明史の中で果たしてきた役割を改めて見つめ直す機会となっています。
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出典:Syrian Guides「World’s First Alphabet Displayed in Damascus After 15
Piece pf Syriaでは、戦争で失われつつあるシリアの文化を残すために、東京大学大学院・渡邉英徳研究室と共同で、文化遺産や日常の記憶を3Dデータとして記録・保存する「シリア・アーカイブ」の活動も行っています。
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