
シリアでは2011年から続く内戦に加え、2023年の大地震が教育環境にさらなる打撃を与えました。
なかでも最も影響を受けているのが、障害のある子どもたちです。シリア北部では、重度の精神・身体障害のある子どもの60%が、学校などの教育機会に一度もアクセスできていないとされています(※1)。
公立学校のアクセシビリティ不足、教員の専門訓練の欠如、そして根強い差別・偏見が重なり、障害のある子どもたちは「学校があるのに通えない」という二重の困難に直面しているのです(※2)。
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※1 )Humanity & Inclusion「Advocacy Factsheet: Inclusion of Persons with Disabilities」(2025)
※2 )Human Rights Watch「Syria: Children with Disabilities Left Unprotected」(2022)

アレッポ近郊に位置するアンダルス特別支援学校は、身体障害を持つ子どもたちを専門に受け入れる学校です。10名の教職員のうち5名は身体障害児の対応に精通した専門スタッフで、残る5名も支援経験を持ち、将来的には聴覚・視覚障害にも対応を広げる計画を持っています。
しかし、内戦と地震によって校舎は深刻なダメージを受けていました。壁・床・天井が損傷し、電気・水道設備も機能しない状態。さらに、バリアフリー設計がなされていなかったため、車椅子の児童が自力で通学・利用することは困難でした。
専門スタッフはいる。子どもたちを受け入れたい気持ちもある。ですが、施設の損傷が激しく、十分な教育を提供できない状況が続いていました。

今回、maaaru様を通じて、beyond様からご支援をお預かりし、2025年1月から2026年5月にかけて、包括的な改修プロジェクトを実施することができました。
基礎の補強からセメント左官・タイル設置などの内装工事、屋根と壁の断熱・防水処理まで、建物全体の耐久性を根本から高めました。
そして特に力を入れたのが、バリアフリー化です。
金属製の手すりとコンクリート製のスロープを各所に配置し、車椅子の児童が自立して校内を移動できる環境を整えました。水タンクを含む水道設備・下水道の整備、電気配線・照明の設置も完了し、慢性的な停電や断水の下でも安定した教育活動が維持できる体制が整いました。
壁面や外装は明るい色彩で塗装され、子どもたちが心理的な不安を感じることなく登校できる、温かな雰囲気の学校へと生まれ変わりました。

私たちの学校には、身体障害児の対応に精通した専門スタッフが揃っています。しかしこれまでは施設の損傷が激しく、十分な教育を提供することができませんでした。
今回のプロジェクトでバリアフリー化が実現したことにより、車椅子の児童も安全に通学できるようになり、スタッフ一同、大きな喜びを感じています。
教育は子どもたちの未来を切り拓き、シリアの平和的な復興に貢献する力となります。今後は、より多くの子どもたちが社会の一員として成長できるよう、質の高い教育支援に邁進してまいります。

現在、整備された施設は暫定政府へと運営が委譲されています。専門スタッフ10名のもと、200名の児童(主に身体障害児)を受け入れる準備が着実に進んでいます。
校舎の工事は完了し、これから机が運び込まれ、2026年9月の新学期、子どもたちが初めてこの教室に入ります。
バリアフリーのスロープを車椅子で上り、明るい教室の机に座り、友達と並んで学ぶ——その日を、スタッフ全員が待ち望んでいます。
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障害を持つ子どもたちは、これまでずっと「教育の外側」に置かれてきました。
今回の支援は、その扉を開けるプロジェクトです。
場所ができれば、来られる子どもがいる。
受け入れられれば、育つ可能性がある。その連鎖を、皆さまのご支援がつくってくださいました。
ご支援くださったbeyond様、maaaru様、本当にありがとうございます。
私たちはこれからも、すべての子どもに学ぶ場所を届けるため、活動を続けてまいります。
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シリアの子どもたちが安心して学び続けられる環境を守るためには、継続的な支援が欠かせません。
もし活動に共感いただけましたら、安定的な教育の環境を整えるために、継続的なご支援を通して私たちの活動を応援いただけましたら幸いです。 