
シリア東部の都市デリゾールは、内戦の中で最も激しい戦闘が繰り広げられた場所の一つです。
ISによる支配、空爆、そして長年にわたる紛争。学校や行政機関は甚大な被害を受け、教育インフラの多くが破壊されました。多くの住民が故郷を追われ、子どもたちは不安と恐怖の中で過ごしてきました。
2024年12月のアサド政権崩壊後、ようやく住民の帰還が始まり、教育の再建に向けた取り組みも少しずつ動き出しています。
デリゾール教育局は、地域の複数の学校を統括する機関として、職員が無償で業務にあたるなど、限られた資源の中でも子どもたちに学びの機会を届けるために尽力してきました。

帰還した子どもたちを待っていたのは、長年の戦闘と修繕不足によって傷んだ教室でした。
板はひび割れ、脚はぐらつき、角が欠けた机が並ぶ教室。安全に使用できる状態ではなく、数も足りないため、通常の授業でもやりくりが必要な状況でした。
特に問題となっていたのが試験のときです。
試験では一人ひとりが個別に着席する必要があります。しかし壊れた机では、公平で安全な試験環境を整えることができませんでした。紛争と避難を経験してきた子どもたちにとって、試験はただでさえ心理的に緊張を伴う大切な場面です。その場で壊れた机に座らざるを得ないことは、さらなる不安と集中力の低下を引き起こしていました。
机が壊れていることは、単なる設備の問題ではありません。子どもたちの心に、「自分たちは大切にされていない」というメッセージを送り続けていたのです。

今回、maaaru様を通じて、後藤真規子様からご支援をお預かりし、試験期間前に机の修復を完了させることができました。(※工事は2025年夏のテストに間に合う形で完了しました)
ぐらついた脚は補強され、破損した板は交換、表面も丁寧に整えられました。700人の生徒が通うデリゾール教育局管轄の学校で、すべての子どもが安全・安定した机に個別着席できる、適切な試験環境が整ったのです。
教員からは「教室の雰囲気が明らかに改善された」との報告が届きました。子どもたちは落ち着いて試験に臨むことができました。物理的な安定が、心理的な安心感にも直接つながっていたのです。
試験は子どもたちの進級や将来に関わる、非常に重要な機会です。しかし修復前は、適切な試験環境を整えることが難しく、集中を妨げる要因が多くありました。
机が修復されてからは、落ち着いた環境で試験を実施することができました。
子どもたちの表情も以前より自信に満ちていました。
この支援は、試験の質を直接的に向上させただけでなく、子どもたちの心理面にも良い影響を与えています。
試験のとき、机がぐらぐらしなくなりました。
安心して集中できました。私たちがちゃんと試験を受けられるようにしてくれてありがとうございます。
これからも勉強をがんばりたいです。

試験が終わった後も、修復された机は地域の小学校にも提供され、通常授業で活用されています。
支援の効果は一校にとどまらず、地域全体へと広がっています。
壊れた机を直すことは、一見ささやかな取り組みに見えるかもしれません。
しかしそれは、紛争を生き抜いた子どもたちに「あなたたちは大切にされている」と伝えることでもあります。
安定した机の上で、子どもたちは自分の答えを書き、未来への一歩を踏み出しました。

今回の支援を可能にしてくださった後藤様、maaaru様、本当にありがとうございます。
シリアの子どもたちは、決して一人ではありません。
私たちはこれからも、教育を通じて未来を支え続けます。

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シリアの子どもたちが安心して学び続けられる環境を守るためには、継続的な支援が欠かせません。
もし活動に共感いただけましたら、安定的な教育の環境を整えるために、継続的なご支援を通して私たちの活動を応援いただけましたら幸いです。 