シリアでは深刻なインフレや経済的課題が続いていますが、子どもたちが安心して通える教育の場を求める声は依然として高く、Piece of Syria(以下、PoS)は現地の先生たちと協力しながら幼稚園と補習校の運営を続けています。
8月は夏期プログラムや特別イベントを通して、子どもたちの小さな成長が見られました。現場から届いた最新の報告をお届けします!
SAKURA幼稚園では、厳しい経済状況下でも208名の園児が通い、夏期期間中も高い出席率を維持しました。
高インフレにより教材や備品の価格上昇が続いていますが、現場の積極的なリソース管理により、日々の活動を滞りなく継続できています。
保護者とのコミュニケーションも良好で、意見箱には夏の暑さに配慮した「室内での身体活動を増やしてほしい」という建設的な提案が寄せられました。先生たちは連携して対応しています。

▲ プール遠足を楽しむ幼稚園の子どもたち
8月10日、夏の暑さから離れてリフレッシュし、集団でのチームワークや社会性を育むため、アレッポ郊外の民間プールを貸し切って遠足を実施しました(園児100名が参加)。
安全確保のため、教師や専門の監督者がしっかりと同行。監視のもとでの水泳活動や集団ゲームを通じて、子どもたちは身体の協調性を高め、笑顔と喜びにあふれた時間を過ごしました。
今回の遠足で最も心温まる変化を見せてくれたのが、5歳の男の子・ムハンマドくんです。
ムハンマドくんはとても恥ずかしがり屋で、水への恐怖心が強く、普段の集団遊びでも誘われることをためらい、輪の外で過ごすことがありました。
遠足中、先生たちはライフジャケットや浮き具を使い、彼のペースに合わせて優しくプールに慣れさせていきました。
そして転機となったのが、友達からの温かい励ましでした。背中を押されたムハンマドくんは、恐怖心を乗り越えて水の中へ!みんなと一緒に笑顔で水遊びを楽しむことができました!
遠足から戻ったムハンマドくんは達成感を見せ、水遊びを楽しんだ経験を通して自信を深めた様子でした。その後、幼稚園での集団活動にも、以前より積極的に参加するようになったと先生たちは話しています。
忍耐強い励ましと安全な環境が、子どもたちの不安を乗り越える力や自信につながる——。水の中で誇らしげに微笑むムハンマドくんの姿は、私たちに教育の大切さを改めて教えてくれます。
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今後の課題は、猛暑期の室内活動や新学期に向けた教育環境の整備です。
子どもたちの関心を惹きつける双方向型の学習キットや、大型スクリーン・プロジェクターといった視覚的ツールの導入を進めるため、PoSでは引き続き日本からのサポートと環境整備を目指しています。
補習校には、朝・午後・夕方の3部制で計1,000名もの子どもたち(女子児童が70%)が通っています。1クラスあたり約35名で、高い出席率を維持しています。
長期間の避難生活を経てアレッポへ戻ってきた家庭では、高いインフレや限られた生計手段、地域サービスへの負担など、さまざまな課題に直面しています。
そのため補習校では、子どもたちの言語面での適応を支え、地域社会へ円滑になじめるよう、指導スタッフのスキル向上やアラビア語教育に力を入れています。
保護者からも「言葉の指導に感謝している」という声とともに、「セッション時間を延長してほしい」「レクリエーション活動を増やしてほしい」といった要望が寄せられており、地域社会と調整を進めています。
8月20日、学齢期の子どもたち150名が参加し、「Green Environment Day: My Language Grows and Blossoms(私の言葉は育ち、花開く)」を開催しました。
現代標準アラビア語でのコミュニケーション促進と環境への意識を高めることを目指し、子どもたちはグループに分かれて植栽体験や環境用語の学習を行いました。
体験を通して言葉を学ぶことで、子どもたちの語彙や会話の流暢さに、顕著な向上が見られました。


▲植栽体験を通して言葉を学ぶ子どもたち
10歳のアフマドくんは長期間の避難生活を経て、家族とともに最近アレッポへ戻ってきました。標準アラビア語の読み書きに大きな遅れがあり、言葉の壁から自分に自信が持てず、友達との交流にも消極的で内気になっていました。
しかし、苗木を植えるアクティビティが彼の転機となりました。 アフマドくんは夢中になって作業に取り組み、なんと仲間を率いるリーダー的役割を発揮!
補習校で新しく学んだアラビア語を使って、植える手順を堂々と友達に説明したのです。その姿は先生や仲間たちを驚かせました。
活動後、アフマドくんは嬉しそうに語ってくれました。 「今日は苗木を植え、標準アラビア語で話せたことを誇りに思います」
アフマドくんは、仲間との交流にも一歩踏み出すことができました。
現場のスタッフはこう話します。
「言葉に悩み内気だったアフマドくんが、アラビア語を使って仲間を引っ張る、自信を持った姿を見られたことは、私たちの大きな喜びです。実践的な体験と言語教育を組み合わせることが、子どもたちに深い自信と地域への帰属意識をもたらすと実感しました。」

8月の活動報告を通しても、幼稚園・補習校の双方で、子どもたちが安全な環境の中で「小さな一歩」を踏み出し、大きな自信を獲得していく姿が見られました。
インフレや厳しい社会状況の中でも、子どもたちが安心して通える環境を守り、より質の高い教育を届けるため、PoSはこれからも現地の先生たちと共に歩んでいきます。
皆さまの温かいご支援が、子どもたち一人ひとりの変化と成長を支えています。引き続き、応援をよろしくお願いいたします。
より安定的に質の高い教育支援をしていくために、継続的な支援を届けてくださるパートナー会員として、私たちの活動を応援していただけませんか?
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