皆さま、こんにちは!Piece of Syriaインターンの岡田です。
本日お届けするのは、Piece of Syriaが行っている海外事業に関するご報告の第2弾!
シリア国内にPiece of Syriaがパートナー団体とともに2022年に開園したSAKURA幼稚園。
ここに通う約200名の園児たちの保護者の方向けに、教育への認識向上を目的とした啓発プロジェクトを、2023年4月から2024年3月までの約1年間実施しました。
今回の活動報告ブログでは、この啓発プロジェクトの成果をお届けします!
■保護者向け啓発プロジェクトとは
戦争や災害の影響により、難民としての暮らしを強いられる状況が長期化しているシリア人の人々。戦争前に高い就学率を誇った彼らが危惧しているのは、十分で丁寧な教育を受ける機会が失われてしまう、いわばスキマの世代が生まれてしまうことです。
Piece of Syriaも、教育事業を行う中で教育の質の担保を特に重視しています。
しかし、難民としての暮らしが続く中で、保護者の間での教育への重要性の認識が徐々に薄れてきていることもまた現状です。
今回実施した「保護者向け啓発プロジェクト」は、Piece of Syriaが支援するSAKURA幼稚園に子どもを通わせている約200名の保護者を対象に行われ、そのうち特に教育への関心度・理解度が比較的低いと見受けられる約100名に集中的なサポートを提供しました。
研修を受ける保護者達の様子
本プロジェクトは「導入セッション」と「フォローアップセッション」の2部構成となっており、Piece of Syriaは現地のNGOと協力してプロジェクト計画の立案・遂行および管理を担当しました。
また、これらのセッションには中東地域の教育機関で20年以上の経験を有する教育専門家をインストラクターとして招聘し、プロジェクトを通して効果のモニタリングを実施していただきました。
講義中の様子
セッションは計10回。前半5回の導入セッションでは子どもが嘘をついてしまう理由や自信を失ってしまった子どもたちへの接し方などの問題提起を行い、後半5回のフォローアップセッションでは前半に学んだ内容の復習や深掘りを中心とした内容を扱いました。
■保護者向け啓発プロジェクトの成果
本プロジェクトは定性的・定量的評価を両方行えたことで、より具体性を持った成果の評価が可能となりました。
教育専門家のモニタリングと参加された保護者の方たちへのアンケートをもとに評価したところ、「参加者である母親たちは、子どもとの関わり方に責任を持つことや、子どもの学力の向上を確保するために教職員との調整や協力の必要があることを理解した」という結論を得ました。
また、園児の出席率は、研修前の85%から実施後には90%に到達し、退学率は5%減少、宿題の提出率も10%向上するなど、顕著な成果が見られました。
アンケートに記入する保護者の方
また、今回の研修は、長期的に保護者と幼稚園運営・教職員側とのコミュニケーションを深め、連携を強化するための基盤構築の機会にもなりました。このような機会を継続的に設けることが、保護者間の教育への意識の維持と向上、そして更なる教育の質向上に不可欠な基盤となると考えています。
長期的に、持続的にSAKURA幼稚園の教育の質を担保するために、本研修は非常に意義深いプロジェクトとなりました。
SAKURA幼稚園で楽しく勉強する子どもたち
■保護者向け啓発プロジェクトの未来
今回のプロジェクト後に行われたアンケートでは、保護者の方の90%以上から、子どもとの関わり方と子ども自身の行動に顕著な改善が見られたとの回答が得られました。
本プロジェクトでの取り組みや得られた成果を、Piece of Syriaでは短期で終わらせることなく、中長期的に展開させること、ひいては地域の他の幼稚園にも普及させ、シリア北西部全体での教育の質を底上げすることを目指しています。
そのために、将来的には幼稚園だけにとどまらず、Piece of Syriaが支援している小中学校やトルコのシリア難民向け補習校などにも実施の範囲を拡大することも検討中です。
このような活動は、私たちの力だけで行うことができたわけでは決してありません。
現地で協力してくれるNGO、参加を決めてくれた保護者の方たち、そして何より、Piece of Syriaの思いに賛同し活動を応援し、支えてくださる皆さまのおかげでこのような直接的な成果を得ることが出来ました。
Piece of Syriaでは、定期的なご寄付を通してこのような活動をご支援くださるパートナー会員の皆様を募集しています。
今後もPiece of Syriaがトルコ・シリアにおいて平和を広げるために、ぜひお力を貸してください!