いつも応援をありがとうございます、Piece of Syriaの中野貴行です。
今日は「シリアで帰還が進む背景と、幼稚園の必要性」というテーマでお話をさせていただきます。
シリアのスタッフから「この夏〜9月にかけて、シリアに帰ってくる人が増えるだろう」と聞きました。
すでに、2024年12月以降、約160万人のシリア難民がシリアに帰国しています(UNHCR、2026.6.24)。
国内避難民(IDP)も190万人が地元に戻っているため、帰還者は合わせて350万人となり、シリアの人口の約14%を占めています。
なぜ9月までにさらに増えるか、と言いますと、学校の新学年が始まるからです。
元々、シリアは教育が普及していた国でしたので、教育を重要視する親世代も多くいる、というのが私の実感です。
「難民」という状況ながら、働きつつ大学院に通っている友人も多く、
「シリアに帰るかどうかは、子どもたちの学校に合わせるよ」という声もよく聞きました。
そうした事情から、シリア人スタッフは今後、シリアへの帰還者が増えると予想していたのです。

シリアへの帰還が必ずしも、「シリアに帰りたいから」というポジティブな理由ばかりではない、とIRC(国際レスキュー委員会)が、報告書で指摘しています。
(IRC、Home, But Not Whole: The Fragile Return and Reintegration of Syrian Returnees、2026年7月6日)
難民として生活していた国々で、避難生活の悪化や支援の打ち切り、不安定な法的地位、家賃の高騰などが要因となって、シリアに帰還している、とのこと。
実際、レバノンから越境した人々のうち、シリアへの永住を希望すると答えたのは27%でした。
そして、帰還した先のシリアでの生活も、決して楽ではない、と同報告書が伝えています。
・帰国の動機の多くは、真の選択ではなく、海外の状況悪化にある
・91%が、必要な生活サービスが整っていない状態でシリアに戻ったと回答
・71%が、修繕や再建のための組織的な支援がほとんどないまま、損壊した住居に住んでいると回答
・44%が、到着時の状況が予想よりも悪かったと回答
そのため「今こそ、支援を!」とIRCシリア事務所代表・エティザズ・ユシフ氏は報告書で語っています。
「長年の避難生活を経て、多くのシリア人が新たな希望を胸に祖国を見つめ、帰還と復興への強い意志を抱いています。
課題は依然として残っていますが、この希望は驚くべき回復力とシリアの未来への揺るぎない決意の表れです。
安全で、自発的で、尊厳ある、持続可能な帰還のための環境整備に今投資することは、人道的な責務であるだけでなく、祖国の復興とより豊かな未来の構築において中心的な役割を担いたいと願う何百万人ものシリア人のエネルギー、スキル、そして決意を活かす機会でもあり、決して逃してはなりません」

シリアのサービスの不足が、地域の中に小さな摩擦を生む要因にもなっている、とも同報告書を伝えています。生活に必要なものが限られている場所では、分け合うはずのものを巡って、すれ違いが生まれてしまうことがあるそうです。
たとえば、ある地域では「子どもたちの学校の席」を巡って、住民同士の間に小さな緊張が生まれているという声があるそうです。
せっかく芽生えた「母国でまた暮らしたい」という気持ちが、限られた資源の奪い合いによってすれ違いに変わってしまわないように。だからこそ、安心して暮らせるだけの環境を整えていくことが、今、必要とされています。

今回のクラウドファンディングを通じて幼稚園を継続させることは、「教育を届ける」だけでなく、平和な未来の日常を作ることにつながります。
今年9月の新学年にはより多くの帰還民が、幼稚園のあるアレッポに帰ってきます。
避難生活の中で母国語や集団生活に十分に慣れる機会がなかった子どもたちが、ここで少しずつ言葉を覚え、様々な背景を持つ子どもたちが友達になり、順番を待つことや譲り合うことを学んでいきます。
公的な支援だけでは届かない、この「教育の土台づくり」だからこそ、私たちのようなNGOの活動が必要とされています。
一人ひとりの子どもが安心して学べる場所を守ることは、シリアがこの先、分断ではなく平和な日常を築いていくための、小さくても確かな一歩だと私たちは信じています。
クラウドファンディングは【7月31日(金)23:00まで】。
シリアの平和な未来を、そして世界が少し変わるような一歩を、皆さんと実現したいと思います!引き続き、お力を貸してください!
動画内で話しているmaaaruさんとの「学校修復」についてはこちら
・すべての子どもに、学ぶ場所を。― シリア・アンダルス特別支援学校 改修プロジェクト報告
◆クラウドファンディング概要◆
紛争から日常へ。 シリアの子どもたちの、当たり前の毎日を取り戻したい
https://readyfor.jp/projects/syria2026
【目標金額】500万円(All or Nothing)
【公開期間】7月31日(金)23:00まで
【資金使途】シリア・アレッポ市での幼稚園運営費(生徒 180人)
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