活動報告

【活動報告】43%が学校に行けない街で、95%が学校に戻る補習校が生まれました

2025年9月、シリア第二の都市アレッポで、帰還した子どもたちのための補習校を開設しました。

2024年12月のアサド政権崩壊をきっかけに、多くの家族が故郷に帰っています。しかし、長引く避難生活の中で、母国語であるアラビア語の読み書きができないまま育った子どもたちがたくさんいます。地域全体では就学年齢の40〜43%が、公立学校に戻れずにいる子どもたちも多くいると現地からの報告がありました。

2025年9月、アレッポに開いたこの補習校では、これまでに50人の子どもをすでに公立学校へ復帰させました。補習校に通っている子どもたちの公立学校在籍率は95%。入学時にアラビア語がほとんど分からなかった生徒の学力は、平均70%向上しています。

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かつて、教育は無償で誰もが受けられるものだった

シリアはかつて、教育を無償で受けられ、就学率も質も高い国でした。しかし2011年に内戦が始まると、国民の半数以上が難民・避難民となり、学校も破壊され、多くの子どもが教育の機会を失いました。
 

2024年12月、13年以上続いたアサド政権が崩壊し、国内外に逃れていた人々がシリアへ帰還し始めます。しかし、避難生活の中で教育を受けられなかった子どもたちや、他国の言葉で学んできた子どもたちは、母国語であるアラビア語の読み書きの基礎ができておらず、帰ってきても公立学校に戻れずにいました。
 

新しい政府も学校の修復や教員給与の改善を進めていますが、「帰ってきたけれど、学校に戻れない」子どもたちを支える場所には、まだ手が届いていません。私たちは、その橋渡しとなる場所として、2025年9月、アレッポ市内に補習校を開設しました。
 

私たちが拠点を置く東アレッポは、もともと生活の厳しい家庭が多い地域です。公立学校の教室はすでに1クラス70人近い過密状態で、母国語の基礎ができていない子どもたちが、いきなりその輪の中で授業についていくことは簡単ではありません。

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一人ひとりに合ったクラスで、基礎から

対象は6〜15歳の子どもたち。

入学時には必ず口頭と筆記の診断テストを行い、習熟度別に3つのレベル、さらに年齢別にクラスを編成しています。

初めて文字に触れる子と、ある程度読み書きができる子が同じ教室で学ぶことはありません。授業の途中で転入してくる子にも、その日のうちにテストを行い、合ったクラスへ案内しています。

教材には「アル・ラシディ」という、初心者向けのアラビア語読本を使い、そこにセンター独自の教材を組み合わせて、読む・書く力を中心に育てています。時間割は午前・午後の二部制で、公立学校に通いながらでも通えるように設計しています。

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読めなかった男の子が、教室の拍手を浴びた日

3月に行われた「音読コンテスト」に、8歳の男の子が参加しました。

避難生活の中で2年間、学校に通えなかった彼は、アラビア語の文字をほとんど読むことができず、間違えることを恐れて、授業でもあまり声を出せずにいました。

コンテスト当日、彼は練習してきた発音を一つひとつ声に出しながら、最後まで一段落を読み切りました。読み終えた瞬間、教室は拍手に包まれ、彼の顔には驚きと誇らしさが浮かんでいたそうです。この経験がきっかけとなり、彼は公立学校へ戻る決意を固めました。

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本当に必要な子どもたちに教育を届けるために

補習校に通う子どもたちの背景はさまざまです。ずっとシリア国内で避難生活を送ってきた子どもたちは、学ぶ意欲はとても高いものの、長期間学校に通えなかったことで、アラビア語の力がほぼゼロの状態からのスタートになります。

 

海外から帰ってきた子どもたちは、話す力はある程度あっても、読み書きや文法はほとんど身についていないケースが多く、家族の判断で帰国・入学することがほとんどです。

入学の際は、帰還したかどうかだけでなく、貧困家庭かどうか、保護者を失っていないか、これまで学校を離れていた期間なども合わせて総合的に見て、本当に必要としている子どもから受け入れています。

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8月の卒業式、そしてこれから

2025年9月に350人でスタートしたこの補習校は、2026年5月には445人となり、この夏、サマーコース限定ですが900人規模にまで広がりました。今の生徒たちは、2026年8月下旬の卒業式を経て、9月から公立学校へ通う予定です。

ただ、まだ順番を待っている子どもも多く、待機している子どもの7割は今も学校に通えていません。さらに、レバノンやトルコの学年末が近づくにつれて、今年の夏から秋にかけては、両国での規制強化や生活の厳しさも重なって、帰還する家族がさらに増えると見ています。

 

机や椅子の傷みへの対応や、教室が足りない時間帯は近くのモスクを借りるなど、現場では今できることを工夫しながら乗り越えていますが、9月以降どれだけの子どもを受け入れられるかは、これからの支援の広がり次第です。

一人でも多くの子どもに、母国語という「帰る場所」を届けられるよう、私たちはこれからも現地スタッフとともに、この補習校を続けていきます。

いつも応援してくださる皆さまに、心から感謝いたします。本当にありがとうございます。

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