日本政府は2026年9月29日、シリアの16の企業・団体に対する資産凍結などの制裁措置を解除することを決定しました。
2024年末のアサド政権崩壊以降、シリアをめぐっては、米国や日本などがこれまでの制裁措置を見直す動きが進んでいます。
今回は、日本政府の発表や報道をもとに、今回の制裁解除と、シリアの復興をめぐる国際社会の動きについてご紹介します。
参考資料:
日本外務省「シリアに対する資産凍結等の措置の一部解除について」(2026年9月29日)
JETRO「日本政府、シリア企業・団体への経済制裁を一部解除」(2026年10月1日)
※以下でご紹介する内容は、上記の政府発表および報道をもとに翻訳・整理したものであり、Piece of Syria独自の見解や立場を表明するものではありません。
日本政府は2026年9月29日、シリアに対して実施してきた経済制裁のうち、16の企業・団体を対象とする資産凍結などの措置を解除することを決定しました。
日本は2011年以降、当時のアサド政権による市民への弾圧などを受け、シリアに対する制裁措置を実施してきました。
その後、2024年末のアサド政権崩壊を受け、シリアをめぐる国際社会の対応にも変化が生まれています。
日本政府も2025年5月に、シリアの4つの政府系金融機関に対する制裁を解除しており、今回の措置はそれに続くものです。
今回解除の対象となったのは、金融、石油・エネルギー、通信、住宅、農産品の流通など、シリアの復旧・復興に関係する分野の企業・団体です。
一方で、すべての制裁が解除されたわけではありません。今回の措置後も、59人の個人と15団体に対する資産凍結などの措置は維持されています。
今回の決定について日本政府は、シリアをめぐる情勢や、日本とシリアの二国間関係を踏まえたものと説明しています。
木原稔官房長官は9月29日の記者会見で、今回制裁が解除された16団体について、「今後、シリアの復興に資する役割が期待される」と指摘。
また、シリアの安定と発展は中東地域全体の安定にもつながるとして、今後もシリアの取り組みを後押ししていく考えを示しています。
つまり今回の制裁解除は、単に過去の制裁を取り消すというだけではなく、シリアの復旧・復興を進めるために、経済活動を取り巻く環境を整えていく動きの一つと見ることができます。
こうした動きは日本だけに限られません。
2025年以降、シリアでは周辺国などによる復興関連の投資や事業も進められています。
たとえば、アラブ首長国連邦(UAE)の港湾管理会社ドバイ・ポーツ・ワールドは、シリアの港湾局との間で8億ドル規模の投資に関する覚書を締結し、タルトゥース港の近代化と運営に関わっています。
また、カタールの建設・エネルギー大手UCCホールディングは、シリア国内で合計5,000メガワット規模の発電設備を建設・運営する契約を締結しています。
さらに、サウジアラビアもシリアとの投資協定を締結し、セメント工場の建設など、復興需要を見据えた投資を進めています。
電力や港湾、住宅などのインフラは、シリアの人々が生活を立て直していくためにも重要な分野です。
経済制裁の見直しや海外からの投資が進むことで、こうした復興に必要な事業がどのように広がっていくのか、注目されています。
一方、制裁の緩和や復興投資が進む一方で、シリアには治安や政治、社会の安定など、今後も取り組むべき課題が残されています。

国際社会との経済的・外交的な関係が変化し、復興に向けた動きが進むことは、シリアのこれからを考える上で大きな変化です。
しかし、「制裁が解除された=シリアの復興が完了した」ということではありません。
国や企業による投資やインフラの再建だけでなく、そこに暮らす一人ひとりが生活を立て直し、子どもたちが学び続けられる環境をつくることも、復興には欠かせません。
戦争によって学ぶ機会を失った子どもたちが、もう一度学び、未来を思い描けるように。
私たちはこれからも、教育を通して、「平和なシリア」を担う子どもたちの未来を支えていきます。
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