アッサラームアライクム。Piece of Syriaのへむりです。トルコ南部にいます。
近頃、シリアの情勢がやや落ち着きつつあります。
ヨルダンやレバノンから帰国を希望するシリア人も多く、
特に最近開いたばかりのヨルダン国境は、車のラッシュが見られるようです。
難民に対し、合法的にほぼ仕事のできないヨルダンや、
シリア人を定着させない政策をとるレバノンならは、シリアへの帰国希望者が多く見られる一方で、
トルコでは、仕事を持つことができ、技術職を持つ人には市民権を与えるなど、様々な可能性を持てるために、帰国を希望するシリア人は8%ほどです。
(追記 トルコ便り③にて、直に聞いた「そうでもない」という話を書いています)
僕がシリアに住んでいた当時(2008-10年)、
「給料が安い」という理由から、出稼ぎ先としてのトルコは真っ先に除外されていた国でした。
レバノンやヨルダンなどの近隣諸国や、カタール・サウジなどの湾岸諸国、そしてギリシャでした。
(田舎では200ドルほどあれば、家族8人が充分生活できたほどでしたので、しばらくの出稼ぎすれば、数ヶ月のセミリタイア生活が可能でした)
そんなトルコが、今や「他国と比べて良い給料がもらえる場所」となっているというのは、不思議な感じがします。
もちろん、望んでトルコに来た、と言うのではなく、シリアでの生活する難しさからの避難がきっかけなので、国選択の前提は以前とはまったく異なるのですが。
(難民として逃げる国は、条件ではなくツテがあるかどうかに左右される。が、住んでいられない、と他の国に行ったり、シリアに戻ったりする)
現在のシリア・トルコ国境は、
東から順に「クルド人」「トルコ政府」「反政府組織」「シリア政府」の順で支配されています
青山弘之「シリア反体制派の最後の牙城への総攻撃はひとまず回避された──その複雑な事情とは」2018.9.20
(上の地図では、トルコ政府と反政府組織が同じですが、下記のように違う色分けがされるケースもあります)
(※追記 アフリーンの「トルコ政府支配地域」と、イドリブの「反政府組織」のそれぞれが支配する地域では、それぞれが「自分たちの土地」という感覚ができているそうです。
イドリブ側のシリア国境を超えて届けた荷物を、シリア国内でアフリーン側に送ろうとすると嫌がられるそうです。そのため、新たにアフリーン側に倉庫を借りて物資を送らないといけない、という事態がここ最近生まれていると言います)
現状、このままでいくのだろう、というのが見方の1つですが、今までなんども約束が破棄されてきた実績があるので、まだ分かりません。
長年、トルコ国内でいがみあってきたクルド人が、シリア国境を牛耳ることに抵抗があるトルコ政府がこのままの状態を良しとするのか。
僕の住んでいたマンベジは、一時期ISに支配されたものの、現在はクルドが支配する地域の中にあります。
平穏な日常を連絡してくれる彼らの生活が、
また砲弾で脅かされないことを願ってやみません。
もしマンベジに行こうとするなら、イラク側から行くことになるということです。
しばらくシリア入りを考えてはいませんが、「お前の村にいつ帰ってくるんだ?」と友人達からの連絡が来るたびに、帰りたくなります。
シリアがどうなるのか、まるで分かりませんが、そこにあった日常が取り戻せますように、と願ってやみません。
トルコ便り③【シリアからトルコへ。トルコからシリアへ】
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