アレッポの子どもたちが安心して通える学びの場を守るため、Piece of Syria(PoS)は現地の先生たちと協力しながら、日々の教育活動を続けています。
7月は、夏季プログラムを中心に、子どもたちの成長を強く感じる出来事が多くありました。現場から届いた声をもとに、印象的だった場面をピックアップしてお届けします。
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シリア・アレッポのサラーフッディーン地区では治安が徐々に落ち着きつつあるものの、社会的な混乱やインフラ不足は続いています。
そんな厳しい環境下においても、子どもたちが安心して過ごし、学び、未来への希望を育める場所があります。それが「SAKURA幼稚園」と「アラビア語教育センター(補習校)」です。
経済的な困難は深刻で、文房具や教材の価格は上昇し続けています。
PoSは、必要な教材や教育キットにかかる費用も補助することで、地域のすべての家庭が幼稚園を利用しやすい環境を整えています。
保護者からは幼稚園に対する非常に大きな感謝が寄せられており、危機的な状況の中で、子どもたちにとって幼稚園が重要な安全な居場所となっていると受け止められています。
SAKURA幼稚園では、危機的な状況下でも208名の園児が継続して幼稚園に通っています。7月の夏季プログラムでは、五感を使った体験型の教育活動を実施しました。

▲ 果物の形や栄養について学ぶ子どもたち
7月の幼稚園では、子どもたちの発達を促すための夏季プログラムを実施しました。 その中でも特に印象的だったのが「Fruit Discovery Day(フルーツ発見の日)」です。
150名以上の子どもたちが参加し、果物の形・種類・栄養について学びました。 実際に触ったり、見たりしながら学ぶことで、子どもたちの好奇心が一気に広がっていく様子が伝わってきます。
活動後のクイズでは、90%以上の子どもたちが果物と栄養を正しく結びつけることに成功。 子どもたちが楽しみながら学ぶ様子が見られたそうです。
現場の先生からは、 「子どもたちが自分のお弁当に入っている果物を嬉しそうに見せてくれました」 という声も届きました。 学びが日常の行動にまで広がっていく様子は、読んでいて胸が温かくなります。

今回の報告の中で、私が特に心を動かされたのが、6歳の男の子・Amir(アミール)くんの変化でした。
アミールくんはもともと控えめで、集団活動が苦手。 お弁当には加工菓子ばかりで、果物はほとんど食べませんでした。
そんな彼が変わったきっかけは、果物を触って当てる「当てっこゲーム」。 目隠しをしたままリンゴとオレンジを当てることができ、クラスから拍手が起こると、誇らしそうに笑ったそうです。
その瞬間から、アミールくんは積極的に活動へ参加するようになり、 なんと初めてバナナを食べ、友達に「バナナのビタミン」について説明するまでに成長しました。
今ではお弁当に新鮮な果物を自分で入れ、家でも弟や妹に果物の話をしているとのこと。 「子どもの可能性が開く瞬間」を、まさに体現してくれた事例でした。
先生はこう語っています。 「アミールが、静かだった子から、クラスメートを率いてクイズをする自信のある男の子へと変わっていく姿は、本当に感動的でした。」
この言葉を読んだとき、胸が熱くなりました。 教育の力が、子どもの日常と未来を変えていくことを改めて感じます。
補習校(アラビア語教育センター)には、朝・午後・夕方の3部制で計1,000名もの子どもたちが通っています。夏休みの間、青少年が路上で時間を過ごすのを防ぎ、安全に学べる貴重な拠点となっています。

▲ プール遠足を楽しむ補習校の子どもたち
7月26日、サラーフッディーン地区の過酷な暑さとストレスから子どもたちを解放するため、アレッポ農村部のプール施設への遠足を実施しました(2回に分け計200名が参加)。
心理的なリフレッシュ、夏の暑さ対策だけでなく、生徒同士・スタッフとの絆の強化を目指し行いました。
幼稚園だけでなく、補習校(アラビア語センター)でも、子どもたちの大きな成長が見られました。 その象徴的な事例が、9歳の男の子・Ahmad(アフマド)くんです。
アフマドくんは、センターでは非常に控えめで、休み時間のほとんどを一人で過ごしていました。 恥ずかしがり屋な性格から、朗読やグループ学習にも参加できず、学習面でも周囲から離れてしまっていました。
転機となったのは、夏季プログラムの一環として行われたプール遠足。 チーム対抗リレーで、アフマドくんは水球チームのリーダーに選ばれました。
最初は戸惑っていたものの、競技が始まると予想外の俊敏さを発揮し、決勝点を決める活躍。 仲間たちが大きな歓声を上げてハイタッチをすると、アフマドくんの表情が一気に明るくなったそうです。
その日、アフマドくんは新しくできた友達と笑い合いながら泳ぎ、水をかけ合い、 「今年の夏で一番幸せな日だった」と話したといいます。この経験が、彼の心の壁を取り払いました。
センターに戻ったアフマドくんは、人前での朗読に立候補したり、古典アラビア語のグループディスカッションをリードしたりするなど、以前より積極的に学習へ参加するようになりました。
先生はこう語っています。
「アフマドがプールで見せた変化は、教室の中だけでは教えられない学びがあることを証明しました。」
補習校が、学習だけでなく、子どもたちの心の回復を支える場所になっていることを強く感じます。
PoSは、現地の先生たちと協力しながら、教材のアップグレード、インタラクティブ教材の導入、教師研修の実施 など、教育の質を高める取り組みを主体的に進めています。
世界的なインフレが続く中でも、子どもたちが安心して通える環境を守るため、運営の安定化にも力を入れています。
7月の活動報告を通して、幼稚園でも補習校でも、子どもたちの「小さな変化」がどれほど大きな希望につながるのかを改めて感じました。
これからもPoSは、現地の声を丁寧に届けながら、子どもたちの未来を支える活動を続けていきます。
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