シリアのピース

2026年6月シリア最新情勢|国連安保理ブリーフィングから見る、政治移行期のシリア

2026年6月22日、国連安全保障理事会でシリア情勢に関する月例ブリーフィングが行われました。

アサド政権崩壊から約1年半。現在、シリアでは新たな政治体制への移行が進められています。

国連シリア担当事務総長特別代表代理のクラウディオ・コルドーネ氏は、現在のシリアについて、

「機会と脆弱性が共存する重要な局面にある」と述べました。

一歩ずつ前へ進みながらも、多くの課題に直面している現在のシリア情勢について、国連による評価と報告をまとめました。


出典:
OSES :Deputy Special Envoy of the Secretary-General for Syria, Claudio Cordone - Briefing to the Security Council (22 June 2026)
UNHCR:Syria Operational update, May 2026(

※以下でご紹介する情勢や数字は、2026年6月22日に国連安全保障理事会で行われたシリア情勢に関するブリーフィングの内容を翻訳・整理したものであり、Piece of Syria独自の見解や立場を表明するものではありません。

政治・社会の動向:新しい国づくりへの歩み

コルドーネ氏によると、昨年実施された選挙は平和的かつ安全な環境のもとで行われました。


国連安保理でのブリーフィング(6月22日)の時点では、選挙から8か月以上が経過してもなお大統領による議員任命が完了しておらず、人民議会は正式に発足していませんでした。


その後、2026年7月1日に大統領による指名分を含む210人全議員の構成が確定し、7月6日に最初の会合が開かれる予定と報じられています(Al JazeeraWashington Times等)。なお、スウェイダ県での議員選出投票はまだ実施されていませんが、新議会にはアラウィー派コミュニティの代表者と、スウェイダ県選出の議員2名が大統領指名枠から含まれています。

 

コルドーネ氏は、この移行期の議会には、新たな法律の審議・採択や行政措置の見直しを行うとともに、多様な声を取り入れながら政治移行を進める重要な役割があると説明しています。

また、同氏は女性をはじめ、多様な背景を持つ人々の声が議会に十分に反映されることが、包摂的な政治移行のために重要だと強調しました。

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▲私たちが活動するアレッポ市内の街並み(2025年4月撮影)

地域の情勢:進展と、今なお残る課題

 

シリア北東部では、政府とシリア民主軍(SDF)の合意に基づき、組織の統合や拘束者の釈放などが少しずつ進んでいます。

南部スウェイダ県については、2025年にまとめられた「信頼醸成と再統合に向けたロードマップ」の実施状況について、コルドーネ氏が報告を行っています。

誘拐事件や武装勢力間の緊張が続いており、地域の治安は不安定な状態です。こうした不安定な情勢は、教育にも大きな影響を及ぼしています。

コルドーネ氏の報告によると、スウェイダでは1万3,500人以上の生徒が今年の全国試験を受けられず、多くの生徒にとって2年連続での受験機会の喪失となりました。

長年の紛争を経た地域の復興には、こうした一つひとつの課題を乗り越えるための時間と積み重ねが必要であることを、この報告は改めて示しています。

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▲SAKURA幼稚園に通う子どもたち。教育は、シリアの復興を支える大切な基盤の一つです。

今なお残る、過激派組織による脅威

また、治安面でも依然として大きな課題が残っています。


シリア当局は、この3か月間でダーイシュ(IS)に関連する組織の摘発を進めていると報告しています。

コルドーネ氏は、統治の空白や地域の不満を利用した活動拡大の可能性に懸念を示すとともに、各地で治安当局を標的とした事件が依然として発生していることを報告しています。

人道支援の現状:帰還民の増加と、深刻な資金不足

同じ日のブリーフィングでは、人道問題担当次長代理のインドリカ・ラトワッテ氏が、人々の暮らしや復興の状況について報告しました。

故郷へ戻る人々と、生活環境の課題


2024年12月以降、およそ160万人の難民と200万人の国内避難民が故郷へ戻っています。

一方でラトワッテ氏は、帰還した人々が生活に必要なサービスや保護、生計を立てる手段(仕事など)へ十分にアクセスできていないことを課題として挙げています。

こうした状況を受け、国連は政府とともに「キャンプもテントもなくそう(No Camps, No Tents)」というビジョンのもと、人々が地域で生活を再建できるよう支援を進めています。

わずか20%にとどまる活動資金


しかし、こうした人道支援や生活再建を支えるための資金は圧倒的に不足しています。

2026年のシリア人道支援計画では約29億2,000万ドルが必要とされていますが、年の折り返し時点(6月時点)で集まっている資金は、わずか20%にとどまっていると、ラトワッテ氏は報告しました。

Piece of Syriaとして:今回の報告を受け止めて

今回の国連の報告から伝わってくるのは、シリアが「復興の入り口」に立っているということです。

政治移行は少しずつ進み、制度づくりも始まっています。

しかし、地域によっては治安が安定せず、紛争中の傷をどう乗り越えるのかという課題も残されています。

さらに、故郷へ戻る人が増えている一方で、その暮らしを支える環境(インフラや資金)は十分とは言えません。

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私たちが活動するアレッポでも、学校や地域コミュニティの再建、子どもたちが安心して学べる環境づくりなど、「日常を取り戻すための支援」が今も必要とされています。

戦闘が終わることと、人々が安心して暮らせるようになることは、必ずしも同じではありません。

今回の国連の報告は、シリアが前へ進むための可能性と、その歩みを支えるためには国際社会による継続的な支援が欠かせないことを、改めて示しているように感じます。

皆様からいただく温かいご支援のもと、私たちはこれからも現地の声に寄り添い、子どもたちの未来をつなぐ活動を続けてまいります。

今後ともシリアの歩みを一緒に見守っていただけますと幸いです。

【7月31日まで】クラウドファンディングに挑戦中!

Piece of Syriaは現在、シリア国内で運営する幼稚園の継続を目指し、クラウドファンディングに挑戦しています!

この幼稚園は、180人の子どもたちが安心して学び、笑顔になれる大切な場所です。

国際社会からの人道支援資金が不足する今だからこそ、皆様一人ひとりの温かい応援が、子どもたちの未来の支えになります。

どうかご支援のほど、よろしくお願いいたします!

【募集期間】~7月31日(金) 23:00
【目標金額】500万円(All or Nothing方式)
【資金使途】シリア国内で運営する幼稚園の運営費

▼クラウドファンディングで応援する▼

https://readyfor.jp/projects/syria2026

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