あの豊かだったシリア国内の生活は、今は生きて行くことが精一杯な状況です。
人口の1/4が海外に難民として、1/4が国内避難民として生活しております。
「元々いた土地を離れる」というのは、代々続いた土地を手放すということで、家、家具、仕事、家畜、農場、築いて来た人間関係、それら全てを失うということです。
200ドルで豊かに暮らしていた生活も、通貨のシリアポンドの下落により、価値が1/10へ。
つまり、物価が10倍になっている、ということです。
今は、シリア国内の野菜など物資の量は充分だということですが、それを買うお金が不足しています。
移動や輸送には、お金とリスクがつきまといます。
政府軍・反政府軍・ダーイッシュ・アルカイダ・クルド軍のほか、有象無象の様々な勢力が陣取っており、検問でチェックを行なうそうです。
ある人が教えてくれた情報では、「1000ドルを支払えば、トルコ寄りのシリア国境から首都ダマスカスまで、安全に移動できる」と言う話でした。
安全も、お金次第なのです。
ただし、すべての場所が危険だというわけではありません。日本の一部で起こった地震が全土に影響していないのと同様、安全な日常生活を送っている地域もあります。
ですが、10倍の物価上昇は、すべての場所の日常生活に影響を与えており、生活費が足りていません。
また、働き手である男性は、各勢力によって兵士として駆り出されます。
シリア人同士で殺し合いをしたくない、と徴兵制を避けるために、国外へ向かう男性も多くいます。彼らは難民となった場所で稼いだお金を、様々な方法で仕送りしています。
就学率97%で、あれほど豊かだった教育も、50%以下へ。
場所によっては6%ほどになった、というニュースもありました。
想像してください。
あなたの給料が9割カットされて生活すること。
1年生の時、40人学級だったのが、6年生の時に2人しか残っていない学校を。