2025年6月、シリア北西部のSAKURA幼稚園にて、生徒の母親40名を対象とした保護者向け啓発セッションを実施しました。

Piece of Syriaは、2016年より地域の子どもたちが無償で通える幼稚園を運営支援してきました。

幼稚園では、教員や心のケアの専門スタッフ等が日々子どもたちに向き合っていますが、子どもたちの成長には幼稚園だけでなく、保護者による家での関わり方も非常に重要です。

　
そこで、本セッションは、家庭と幼稚園が協力して子どもの健やかな発達を支えることを目的とし、4日間にわたる教育・心理・健康分野の研修を実施しました。

（本事業は、大阪コミュニティ財団様の助成を受けて実施しています）

【研修テーマ（全7回）】

（１）ポジティブ・ペアレンティングと子どもの行動理解
　子どもの行動を前向きに受け止め、健全な親子関係を築くための考え方と対応方法を学びました。

（２）適切な栄養と子どもの健康管理
　子どもの健やかな成長のための栄養知識と、基本的な健康管理を学びました。

（３）避難を経験した子どもへの心理的サポート
　避難や紛争の影響を受けた子どもの心のケアと、保護者としてできるサポート方法を学びました。

（４）家庭での学習支援と日常のルーティンづくり
　家庭内での学習習慣づくりや日々の生活リズムを整える方法を学びました。

（５）子どもの発達特性とその対応方法
　成長段階ごとの子どもの発達特性を理解し、それに応じた関わり方を学びました。

（６）家庭の結束力と機能性を測る社会科学的手法の紹介
　家族のつながりや機能を評価するための社会科学的な測定方法を保護者に紹介しました。

（７）動機づけの基本と教育的な結果の理解
　子どもに対する動機づけの考え方や、行動に対する効果的な教育的対応について学びました。

ポジティブな子育て、栄養と健康、避難中の心理的支援、家庭での学習習慣の構築など。

　
【形式】

視覚教材や配布資料を用いた講義、グループディスカッション、体験共有。

【実施期間】

2025年6月（4日間）

研修講師の話を聴く母親たちの様子

研修の前後に実施した、母親の子育てに関する知識を測るテストでは、以下のような理解度の向上が見られました。

ポジティブな子育ての理解：45% → 83%（＋38%）
子どもの精神疾患の兆候の認識：39% → 79%（＋40%）
健康的な栄養の基礎知識：52% → 85%（＋33%）
家庭学習活動の実施能力：48% → 88%（＋40%）

研修後、子どもへの接し方を変えた母親の家庭では、「登園時に泣かなくなる」「食生活が改善する」「学習に積極的になる」といった変化が見られました。

　
参加者の70%以上がグループディスカッションに積極的に参加し、40%以上が「子どもと幼稚園で学んだことを日々話している」と回答しました。

本セッションを通じて、多くの母親たちが「叱る」から「対話する」子育てへと一歩を踏み出しました。

例えば、朝の支度をめぐって毎日泣いていた子どもが、母親の接し方が変わったことで笑顔で登園するようになったり、遊びながら学べる家庭学習を取り入れたことで子どもがより積極的に学ぶようになったという声が届いています。

栄養への意識も高まり、甘いお菓子ではなく、タンパク質や野菜を取り入れた朝食を始めた家庭では、子どもの活力が目に見えて変化したという報告もありました。

　
こうした変化は、数字にも表れています。ポジティブな子育ての理解は38%向上し、子どもの精神的サインに気づける母親の割合も40%増加。多くの母親が学んだ知識を日々の生活に取り入れ、家族の関係性そのものが変わりつつあるのです。

　
しかし、こうした取り組みを継続・拡充するには、まだまだ多くの支援が必要です。

困難な状況にありながらも、子どもたちにより良い未来を手渡そうと努力する母親たちを、あなたの力で後押ししていただけませんか？

1日わずか100円のご寄付が、子どもたちとその家族の人生を変える学びの機会へとつながります。
どうか、平和な未来を共につくる仲間として、私たちの活動を支えてください。