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Piece of Syria(ピースオブシリア) | 【シリアに起こった変化③ 行かないとわからない「心」】
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【シリアに起こった変化③ 行かないとわからない「心」】

【シリアに起こった変化③ 行かないとわからない「心」】

アッサラームアライクム!
Piece of Syriaのへむりです。

 

僕は2015-7年の間に、ヨルダン、トルコ、イラク、ギリシャ、フランス、スウェーデン、レバノン、イタリア、ドイツ、イギリスを訪れ、その中で、僕が出会ったシリアの人たちから話を聞かせてもらいました。

 

ブログ写真.006

シリア人からもらった「わかりやすく書いた勢力図」(2015年時点)

 

● 複雑なシリアの国内事情

 

先日、池上彰氏が番組で「シリア国内は今は三つ巴で…」と解説していました。
僕が以前、書かせて頂いたように、3つどころではありません。

 

あるシリア支援活動をされてきた方は、その話を聞いて「一桁違うね」と仰っていましたが、
それほどに、シリア国内における勢力争いは複雑です。

 

政府軍、反政府軍、アルカイダ系組織、ダーイッシュ、クルド軍、民兵、数あまたの小さな組織や海外に作られた組織、そして、それらの後ろには様々な海外の政府・組織・企業などがついているとされています。

 

トルコ政府は国内でクルド人と武力弾圧をしており、
その関係でシリア国内・イラク国内にクルド人の地域を作らせないように動いていたり、
一方でダーイッシュ掃討に非常に大きな成果を上げているクルド人部隊を支援したい国々も多くいます。

 

トランプ政権になってから中東における覇権をロシアに渡そうとしているような動きが見てとれますし、
そうした大国・周辺国の動きは時期により異なってきています。

 

もちろん、その動きは「シーア派」「スンナ派」などで分けれるものでは決してありません。

 

また、シリアの騒乱の原因となったものは、「自由を求める市民による民主化 vs それを弾圧する独裁政権」と言ったような対立構図とは言い難く、と言うのは、シリア国外からの働きかけは多くの文献で指摘されています。

 

その「働きかけ」の一つが、お金の動きです。
不自然な「お金持ち」のシリア人が現れているという話を耳にします。

 

そうした人たちにとって、あるいは軍需産業など戦争がビジネスになる企業・政府にとっては、戦争が続くことが望ましいと言えるわけです。

 

武力紛争という混沌を求める人たちがいるならば、平和への道のりが非常に困難であると言わざるを得ません。

 

ブログ写真.016

戦争前のダマスカスの街角

● 単純化しないこと

 

さきほどと同じ番組で、政権側がサリンを使用したという「疑惑」も 「事実」として伝えていました。

 

数年前も、「化学兵器を使用か?」という本文を読み込めば「まだ分かってないんだ」とわかることも、
センセーショナルな見出しだけを見て、「使用した事実」へと歪曲されていたことがありました。

 

池上さんの番組は、僕もよく見ますし、現場へ直接赴き、話を聞く方だと耳にしますが、
それでも、シリアに関しては、このようなことが起こっています。
メディアから情報を得る際は、本当に気をつけていただければ嬉しいです。

 

確かに、そういう「見方」や「意見」が”あること”は事実です。
しかし、その見方が事実とは、まだ断言ができないのです。

 

そうした「数多あるうちの一つの意見」(しかも誤報であるかもしれないもの)で作られた世論が、平和を遠ざけ、戦争を助長する可能性もありますので、気を付けて情報を見ていかないといけないと思います。
それは、僕自身にも言えることなので気をつけたいと思います。

 

繰り返しになりますが、シリアで起こってきたこと、起こっていることを、
僕自身が理解しているとは決して思いません。
ですが、平和な頃のシリアに住み、多くのシリアの人たちの話を聞いてきたことで分かる「複雑さ」は理解していると思います。

 

「単純化しないことに勝る理解がない」というのが、僕の考えです。

 

 

レバノンの幼稚園と小学校。生徒はシリア人とレバノン人が半分ずつだった。

レバノンの幼稚園と小学校。生徒はシリア人とレバノン人が半分ずつだった。

 

● シリアはアサド政権をどう思っているのか?

 

「アサド大統領について、政権について、どう思うのか?」

 

これは、すごく繊細な質問になりますし、誘導尋問になる可能性を危惧して、
僕から率先しては聞かないようにしていました。

 

逆に、シリア人から聞かれることもありましたが、
僕自身も、明確な答えを避けるようにしていました。

 

しかし、彼らが想いを吐露してくれることもありましたし、
流れで話題になることもあって、意見を聞くことができました。

 

メディアでよく出てくる日本人ジャーナリストの方々は、
反政府の意見だけを取り上げていますが、
僕のように多くの国でシリアの人たちから、話を聞けば聞くほど
「いろいろな意見がある」ことが、実は分かります。

 

僕の数少ない経験ではありますが、
とりわけ、政府支持の話を聞くことが多かったのはレバノンで、彼らは英語を話せませんでした。

 

一方、ヨルダン・トルコでは、反政府の話を聞くことが多かったです。
偶然かもしれませんが、英語を話す人も多く、レバノンと比べて、支援をしている日本人も多くいる国です。

 

政権によるプロパガンダを指摘する人も多くいますが、
逆に、反政府軍によるプロパガンダを指摘するシリア人達もいるのです。
(つまり、反政府軍をサポートしている国々のメディアが協力していると推測できます)

 

また、「革命」を支持しつつも、かつてのアサド政権による政策を高く評価する人もいました。
アサド政権下で、教育・医療・治安などといった面で、豊かな生活があったからです。

 

「ただ、話す自由だけがなかった。
 しかし、今のような状況になると知っていたら、革命を支持なんてしなかっただろう」

 

と僕に訴えるシリア人は1人や2人ではありませんでした。

 

何をお伝えしたいかと言うと、これも先ほどと同じで、「単純化しないこと」です。

 

シリア人の中にも、様々な意見があります。
支持する声も、反対する声も。

 

アサド政権を手放しで称賛することはできませんが、
同時に「アサド政権による弾圧に、すべてのシリア市民が苦しめられている」という単純な話でもないのです。

 

スウェーデンの街中にはアラビア語が。イラクからの難民として来た人たちが作ったお店が並ぶ。

スウェーデンの街中にはアラビア語が。イラクからの難民として来た人たちが作ったお店が並ぶ。

 

● シリアの人たちが望んでいることは

 

シリアの人たちを苦しめているものは、この戦争状態に他なりません。

 

2200万人ほどだった人口のうち、500万人近くが国外へ、国内では630万人ほどが国内避難民となり、
シリア国内では、物価が10倍、治安の悪化、インフラ・教育・医療システムの破壊により生活が困窮しています。

 

なにより、「家族で一緒に過ごす」というシリアの人たちが最も求めている「当たり前の中にある幸せ」が、「叶わない夢だ」とつぶやきます。

 

戦争が終わってすぐ、シリアの故郷に戻れるわけではありません。
ですが、彼らの望みは「戦争が終わること」です。平和です。

 

決して「難民として」良い生活をしたいとは望んでいません。
「かつてのシリアの方が、ヨーロッパよりも豊かだった」と懐古するほどでしたから。

 

何年か前に「そうだ、難民しよう」という日本人が書いた風刺画が、
世界のメディアで取り上げられて、大悪評を呼びましたが、
「ヨーロッパに難民になる」のは、望みではなくて、
「まだマシ」な選択肢として、仕方なく選んでいるということは、話を聞いていくと見えてきます。

 

「ヨーロッパで難民になることを望んでいるシリア人」はいるでしょうが、
少なくとも僕が出会った100人超の中には、ただの1人もいなかったのは事実です。

 

ヨーロッパで住めることになったシリアの人たちは口を揃えて「この国に感謝している」と述べていましたし、ヨーロッパの生活がダメだと言うわけでは決してありません。

 

ただ、お伝えしたいのは、
多くのシリアの人たちにとっての望みは「ヨーロッパで生活すること」ではなく、
「シリアで家族と平和に暮らすこと」なのだ、ということです。

 

多様な意見があることを知っていただきながら、
みなさんと一緒に「平和」について考えていければ、行動をしていければと願っています。

 

是非、そこで皆さんとお会いして、お話しができれば嬉しく思います。

 

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