こんにちは。Piece of Syriaの中野貴行です。
先日、オフィス近くにミサイルが着弾したというダマスカスから、UN-Habitatのシリア事務所所長の高林さんに登壇いただくイベントを実施しました。
ぜひ、全編を動画で見ていただきたいのですが、要点を抜粋して、文字を起こしをいたしました。
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① 足りていない支援、必要な支援 〜シリアの今の状況〜
② UN Habitatの活動 〜住み続けられる街づくりの重要性〜
③ なぜ日本もシリア支援をするのか? 〜「人道」だけでなく「世界の安定」 のために〜
④ 高林さんから見たPiece of Syriaとは?
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・イスラエルからミサイルが高林さんのオフィスの近くに着弾し、犠牲者が出ているのが日常。空港が狙われたりもしている。昨年の10月(ガザ危機)以降、悪化している。
・レバノン南部からシリア人・レバノン人が逃げてきている。
・支援を必要としている人が年々、増えており、8割が貧困ライン以下。
・食料が足りておらず、子どもの成長にも良くない。
・公共セクターの給料が20ドル(それで家族を養う)。
・人口の半数が安全な水にアクセスできない。汚水処理もできておらず、コレラが蔓延。
・1日2〜4時間しか電気がない。
写真:UN Habitat
・皆が住み続けられる街づくりのための、分析、計画づくりをする
・コミュニティの人たちと、分断されている町の行き来を再開できるように、何を優先するかを対話する
・子どもが瓦礫の上を通って通学している。大人たちが喧嘩を止めない結果、町がボロボロになったままの状況があるなかで、どうやって「友達と喧嘩しちゃダメだよ」と教えられるんだろうか、と親として感じる。
・文化の復興も重要。遺跡に手をつけられているわけではないが、町の復旧計画を考える上で、どんな街にも遺産があって、住民の誇りやアイデンティティになっており、コミュニティと話すときに、そういう存在について話すことを優先している。そういうシンボルがボロボロであることより、再建されることで、より大きな再建の力になる。
写真:UN Habitat
・困っている人たちを助ける人道的な視点は大事だが、それだけではない。
・それに加えて地域の安定、世界の安定のために、シリアを支えることは重要。海運が止められて、輸送コストが上がり、世界的なインフレにつながる。経済の不安定化によって、実際にイスラム国が活発化している(思想ではなくお金のために軍隊に入る)。
写真:UN Habitat
・国連の政治の部分で動いている部署はあるが、なかなか進んでいない。
・コミュニティレベルで、人々の助け合いや対話の機会を地道に作り続けることが大切。そこで、UN-HabitatやPiece of Syriaが果たす役割がある。諦めない。
・Piece of Syriaがやっているような、子どもたちへの教育の部分は重要。
写真:UN Habitat
「高林さんから見た、Piece of Syriaの良いところは?」という質問が参加者の方からあったので、伺ったところ、めちゃくちゃ嬉しいお答えをいただきました!
国連とNGOは、活動を補完し合う関係にあります。
ですが、NGOといっても、どれも一緒というわけではありません。
Piece of Syriaは、現地のシリアの人たちのニーズを聞きながら、
中野さんをはじめ、日本のスタッフの経験が混ぜ合わさって、知恵が生まれて活動を進めています。
単純に、現地の人たちが「これ、ください」というものを届けるだけではなく、日本のNGOとして間に入るからこその価値が生まれています。
そうやって、ちゃんとやってくださっているNGOの活動は、国連ではできない、きめ細かい現場に届く支援をされていると思うんです。
「シリアをまた行きたい国にする」という目標は、一足飛びに行く話ではないと正直思います。
ですが、それを続けることに、本当に意味があると思っています。諦めたら終わりですから。
色んな立場の人が、できることをやっていくことが大切です。
その中の一つの選択肢として、日本人がやっているPiece of Syriaの活動があることは、日本人である私たちにとっては大きなことだと、僕は感じています。
打ち合わせて「こういうことを言ってほしい!」と伝えていたわけではなかったので、こんなふうに言っていただけたことが、とっても嬉しかったです!
改めて、Piece of Syriaが行なっている活動についてお伝えする機会を作りますので、ぜひ、周りの方もお誘い合わせの上、ご参加いただけますと幸いです。
【日時】10月19日(土)20:00〜21:00 + 交流会
【申込・詳細】https://syria202410.peatix.com/