こんにちは。Piece of Syriaスタッフの鈴木です。
この数週間、世界はどうなっているんだと思う争いが各地で起こっています。
アゼルバイジャン・アルメニアで軍事衝突が激化し、パレスチナ・イスラエル間が大規模な戦争状態に突入・・・トルコ軍によるシリアへの空爆も悲しい犠牲を生みました。
洪水や地震など、多くの死者を出すのは自然災害だけでなく、人と人が殺し合う戦争が世界中で終わりなく続いています。
シリアでは2011年に戦争が始まってから間もなく13年が経ちます。
複雑な対立構造が戦闘を膠着化させ、外からの支援が入りにくい地域を生み出しています。
「どちらの体制側につくか」というような議論も展開されていますが、私たちPiece of Syriaは、いかなる派閥に関わらず、無実ながらこの戦争に翻弄され、傷つく子ども達へ寄り添いたいと思っています。
その中で、設立時から私たちが注力しているアプローチの方法は「教育」です。
なぜ教育にこだわるのか。
今日は、その想いをシリア人スタッフの言葉でまとめたものをお届けします。
以下、今年6月に初来日し、約一ヶ月の研修で教育について学んだシリア人スタッフによる、報告書の一部から抜粋したメッセージです。
シリアの教育に応用するために、日本の小学校・幼稚園などを見学するシリア人スタッフ・ウサマ(写真中央)
教育は、その国を表すものだと思います。
社会の実態、哲学、歴史、発展の程度、大志、将来への希望を反映されるからです。
教育の始まりは家庭です。幼児書や教育テレビに触れることで、マナーや常識、遊びだけでなく、文字の読み方・数字・人気のある歌なども学べます。そして幼稚園に入り、小学校に入る前に社交性、文字の読み書き、数字、人間関係について学びます。
シリアでは多くの生徒が、途中で学校を辞めてしまう課題に直面しています。以前、その主な理由は安全によるものでしたが、今は他にたくさんの理由があります。
戦争・紛争の際に、教育の権利は軽視されがちです。
人道的危機や災害時に「教育の権利」は、「他の人権ほど重要でない」と思われるかもしれません。しかし、実は非常に重要です。
大人達も大変な状況下です。子ども達が安心できる環境で教育を受けることは、家庭内の平穏にもつながります。
教育が奪われることは、「国の復興のためになんとかしたい」と思う気力も奪います。
少しずつ力を合わせて、未来の復興を築いていこうという気持ちを育てるのは、教育の持つチカラなんです。
2011年3月に戦争が始まって以来、シリアで生まれた約500万人の子ども達は、戦争以外の何も知らない状態で育っています。
シリアの多くの地域で暴力、地雷、戦争の残骸からの恐れの中で生活しています。このことは、子ども達の心身に大きな影響を与えています。
児童労働も増えており、子どもの約半数が家計を助けていると言われています。安価または給与が払われないなど搾取の対象になったり、暴力を振るわれたりしている、という国連のレポートも出ています。
子ども達は生まれた場所に関係なく、平等に高い質の教育を受けることが重要だと、私は考えます。
日本の皆さんが、シリアの教育に関心を寄せてくださっていることに心から感謝します。
戦争のために教育を受けられなくなった子ども達が、皆さんのおかげで学びの場に戻ってきています。
皆さんは、次世代の子ども達を育ててくださる、とても重要な存在です。
ぜひ、いつか平和になったシリアを訪れてください。
皆さんが支援した生徒達が大人になり、シリアの未来を作っている場所に来ていただきたいです。そして「平和なシリアを作ったのは、あなた達です」とお礼を伝えられる日を、私は心から願っています。