「シリアをまた行きたい国にする」を目標に活動するNPO法人Piece of Syriaは、9月27日の「世界観光デー」に合わせ、シリア滞在経験者に「シリアの魅力」についてのアンケートを実施しました。
2011年に発生した戦争が今も続くシリアは、旅行者が訪れることが難しくなっていますが、戦争前は、観光客ランキング30位の、観光客を魅了する豊かな歴史、美しい自然、そして温かい人々に満ち溢れた魅力的な国でした。シリアへの渡航者が回答したアンケートをもとにランキング形式でその魅力を紹介します。
ランキング発表の前に、惜しくも「ベスト5」にはならなかったものの、「ここがおすすめ!」という場所を抜粋してお伝えさせていただきます!
・ボスラ:ローマ円形劇場が有名で現在も現役で使われています。お祭りで、円形劇場でみんなで踊ったのが最高でした。一番高いところでどこまでも広がる赤い大地と青空を眺められるところがよかったです。
・アパミア:パルミラにも劣らない列柱の街道が美しく、季節のいい時にいくと満開の花と円柱回廊に思いを馳せられます。当時ガイドブックに載っていなくて、行った時にその草原の中の石の遺跡の美しさに、別世界に来たかと感じました。ダマスカス キリスト教、イスラム教両方の宗教の歴史がつまっています。
・ラタキア:砂漠の国で海を見れるラタキアの感動は忘れられません。地中海に面している漁港がいい雰囲気を出しています。町も他の場所に比べれば開放的で、美しい夕日を見ることができます。
・ラッカ:ラッカからユーフラテス側沿いにイラク国境ブカマルまでのバス旅行が最高でした。特に秋がおすすめ。砂漠から綿花畑があり川沿いにはオアシスがあり、メソポタミアの古代遺跡も楽しめます。油田も遠くに見えて、ベドウインが奏でるアラブ音楽だけでなくアメリカの南部の黒人のブルースが聞こえて来そうです。手つかずのラサーファの遺跡がよかったです。この遺跡は、まだほとんど発掘が進んでいませんでした。発掘がされていない遺跡というのはこういうものなのかと新鮮な感動があったことを覚えています。
・ハマー:巨大水車があり、今は機能していませんが、昔は遥か遠くまで、水を運ぶ用水路に水を汲み上げるものであり、その大きさと能力に圧倒されます。ぜひ復活させて欲しいと思います。
・ウガリット:世界初のアルファベットが刻まれた小さな石に出会ったのが、歴史好きとしてはとても印象的でした。シリアの文明度の高さを感じます。古代の人々の暮らしを想像できる場所でした。春に訪ねたら、遺跡の中に草花が生い茂り、とてもきれいでした。
・カサブ:アレッポ石鹸も良いですが、カサブの手作り石鹸も使い心地がなめらかでとてもよかったです。オリーブ石鹸の質の高さを認識しました。少し標高が高いところにあるので、夏は涼しく、人も多くないので、ゆったり過ごせます。
・アルワード島:シリア唯一の有人島で、渡し船で渡ったのをよく覚えています。夕日に照らされる島がとっても素敵でした。
・カラートナジュム(星の砦):ユーフラテス川のダム湖の隣にあり、湖を見渡せる城というロケーションが珍しい。近隣住民お手製の刺繍購入及び交流も楽しみのひとつ。
・サッカー:シリアは、サッカーが、盛んです。ぜひ、スタジアムに、足を運んで、見てください!結構、レベルも高いですよ!
・移動:シリア国内の「バス移動」が大好きでした。砂漠の中の一本道をひたすら進むことも、途中の小さな町の休憩所(停留所)でデーツを食べることも。恐ろしく安く国内ほとんどの場所にバス移動できることも、シリア観光の魅力の一つです。
それでは、いよいよ、観光地トップ5を紹介します!
5位 マアルーラ(25%)
・イエス・キリストが母語としていたというアラム語が現代に至るまで話されていて、幾多の戦火を乗り越えてきた村の穏やかな光とともに心に残っています。
・シリアで最初にキリスト教徒女性が殉教した場所で、彼女が逃げるときに奇跡が起きて山が割れたと言われていますが、行ってみると本当に山が割れたようなところでびっくりしました。のどかな町で、教会ではキリスト教徒の女の子が説明をしてくれて、最後にシリア語で祈りの言葉を話してくれました。すごく穏やかで優しい町です。
・こじんまりとした石造りの街で歴史を感じさせる。町全体が丘の上から一望できる。半分洞窟のなかの教会とか岡上の白い石造りの教会も美しい。谷の間みたいなところを散歩するのも楽しい。
4位 アレッポ(37%)
・街中に世界遺産があり、アレッポ城から中心街までのびるスーク(商店街)が圧巻でした!スークを歩けば、店主に奥に案内され、行くとお茶やご飯をご馳走してくれました。
・アレッポはシリアの商都であり、食い倒れの街でもあります。美味しい店、料理は数え切れないほどありましたが、特にオススメなのがマトアム・ヤルムークのナスのケバブです。羊のひき肉とナスが交互に鉄串に刺されており、焼けたひき肉から染み出した肉汁をナスが吸収しながらトロトロに焼き上がっており、美味しいです。
・1番はアレッポ城。保存状態が当時はよかったし、ローマ的要素もアラブ的要素もあって文化的に多様なところもおもしろい。円形劇場で現代音楽のコンサートを観たこともあり、それも印象的だった。アレッポは食も豊かだし(茄子ケバブやピスタチオも)、昔ながらのアレッポ石鹸、ダマスカスよりいろんなデザインのあるクーフィーエ(頭に巻く布)などのお土産品も充実している。
・アレッポといえば、シンボルのアレッポ城、そして「ゆりかごから墓場まで」と例えられるスークが有名ですが、観光地に限らず、ダウンタウンの「ジャミリーエ」、クリスチャン地区の「アズィズィーエ」や「ジュダイデ」等、色んな表情を見せてくれる大好きな街です。
3位 クラック・デ・シュヴァリエとサラーフ・アッディーン城(41%)
・「天空の城ラピュタ」のモデルにされたと言うシュバリエ城は、広大な平原の中に孤高にそびえたつ古城で、本当に素敵な場所。巨人兵が本当に居そうでした!アラビアのロレンスも見た美しい城塞で、ロレンスの足跡を訪ねる意味でも価値があります。
・サラーフ・アッディーン城はアクセスはあまりよくないのですが、乗り合いバスで地元の人と話しながら近くまで行って、そこからは地元の人のトラクターに乗せてもらいました(しかも帰りも迎えに来てもらいました)。
ガイドをしてくれた人も、お城のことだけではなく、オレガノを摘んで香りをかがせてくれたり、やまびこが楽しめるところを教えてくれたり、とてもあたたかく親切でした。景色がよく、城砦の規模も桁違いで、地元の人々のやさしさも含めて何もかもいい思い出です。
・サラハディーン城は森の中にあって、途中切り出された石の門みたいなのがあるのも楽しい。いかにも守りが固そうなお城。普通に人が住んでいるのも楽しい。
2位 ダマスカス(53%)
・現在の世界中の都市の中で、最も古くから人類が住んでいる街。ほんとうに美しく、長い歴史を生活の中で身近に感じられる街。世界で最も古い街のひとつというだけでも価値がある。
・ウマイヤド・モスクは、アラブ各国から敬虔なイスラム教徒が巡礼に来て、涙を流しながら礼拝していて、宗教の力を思い知らされます。装飾やレリーフの素晴らしさと中庭のピースフルな雰囲気が大好きです。子供達がボールを蹴ったり走り回ったりしてるのが印象的です。石の床がピカピカでたくさんの人の素足で磨かれてきたことに歴史を感じました。
・ダマスカス旧市街は、路地好きにはたまらない。同じ街にイスラム教徒とキリスト教徒が暮らしてきたんだな~というのがよく解るところも好きです。
・カシオン山に登れば、ダマスカスを一望できます。特に夜景がオススメ!
・ダマスカスは北にはカインがアベルを殺した現場と言われるカシオン山、旧市街にはパウロが改宗したまっすぐな道があったりして、歴史を感じることができます。が、その周りにばんばん店を建ててしまったりする今を生きている感が楽しいです。書店が多いのも魅力でした(今はだいぶ閉まってしまったと聞きました。悲しい)。
・誰もがいつでも入って見られる訳ではないけれど、ダマスカスの命の源フィジェの泉は感激のあまり娘の名前にしたほどです。
1位 パルミラ遺跡(57%)
・列柱通りや十字軍時代の城に古代遺跡のロマンを感じます。まさに思い描いていた遺跡群!これらを観たのをきっかけに、遺跡が好きになりました!砂漠の真ん中に温泉もあり、また行ってみたい場所です!日本からの友人と行っても、やはり満足度が高かったです。
・アラブ城から見るパルミラの全景、古代の街と現代の街を抱く大地に沈む夕陽、夕方の薔薇色に染まった姿は圧巻です。一生忘れません!!
・近くの丘に登って、一瞬の晴れ間にパルミラの全貌を見れたことがありました。神宿るという印象を持っています。
・ラクダが好きなので、パルミラの遺跡の中をラクダに乗って散策したことが印象的だった。
・遺跡の精緻さ、雄大さに圧倒されました。悲しいことにそのいくつかはもう見ることができないという事実にも心が痛みます。無理してでも訪問して良かったですし、無理してでも行けるなら行っておけ、ということですね。
<とにかく人が素敵!>
・シリアには様々な観光名所、世界遺産がありますが、何より一番は人々です。その温かさ、思いやりの深さ、ホスピタリティの素晴らしさ、シリア人こそが世界遺産だと思っています。
・多種多様な民族と宗教と言語が共存しており、人々は優しく誠実な人が多かったです。
・シリアの人々の親切さと笑顔こそがシリアの最大の魅力だと感じています。
・片言でもアラビア語理解できるようになれば、シリアで、人に尽きる、こと理解頂けると確信してます。
・人懐こい笑顔のシリア人。
・人々の、特に子供たちの笑顔が宝石のように美しく、そしてカメラを見つけると集まってくれるので、たくさん写真に収めることができました。「俺を撮れ!」「私を撮って!」は、私の中でシリアの人々のキーワードです。
・人が優しくて、あまり観光ズレしていないところ。私が居た頃は敬虔なイスラムの教えに従った方々が多くたくさん親切にしてもらいました。
・人が親切。遺跡の入口の人とかお土産屋の人とかそのへんの人が声をかけたりお茶をごちそうしてくれたりする。道に迷っていたら連れて行ってくれるし、セルヴィスで席を譲ってくれるし、数回お店に行っただけで常連客のようによくしてくれる。みんな目が合うと基本笑顔。売り込もうとか下心があるわけでなく純粋に親切。
・とにかく、人が温かい。そして、見馴れないアラビア語もどんどん美しく感じるようになると看板や街並みも視野に入るもの全てが気分をあげてくれる。
・どこでも、人が魅力的、歴史を大事にしている。
<食べるもの全て美味しい!>
・食べ物、特に家庭料理がおいしい。レストランでも食べられるが、アレッポの煮込み料理はバリエーションも豊富で飽きない。「シリア料理」の中でも、アレッポは、食の都といっても過言ではないほど。おすすめは、初夏限定の「ケバブ・カラズ」(さくらんぼソースのかかった肉団子)です。
・時間をかけて作る家庭料理。
・フレッシュなフルーツ、またはフルーツジュースだけど、シリア料理全般地域差があって欠かせませんね。
・なによりも美味しい「シリア料理」です。中でもアレッポは、食の都といっても過言ではないほど。おすすめは、初夏限定の「ケバブ・カラズ」(さくらんぼソースのかかった肉団子)です。
・街中のファストフード・シャワルマ(トルコのドネルケバブの比ではない)や、お菓子。
・野菜果物はじめ食べ物がとても美味しいのも大きな魅力。ダマスカスのアイスレモンは暑い夏には必食!
・食べ物、特に家庭料理がおいしい。レストランでも食べられるが、アレッポの煮込み料理はバリエーションも豊富で飽きない。
<アンケートについて>
オンラインでアンケートを依頼し、49名の方に回答をいただきました。回答者の多くは、2000年から2011年の間にシリアを訪れており、特に2004年から2011年にかけて定期的に訪れた方が多く見られます。訪問回数が複数回にわたる回答者もおり、また、1990年代後半から2000年代初頭にかけて訪れた方もいました。さらに、最近では2018年や2024年に訪問した方もいらっしゃいます。
Piece of Syriaでは、現在、実施しているクラウドファンディングのリターンとして、シリアのオンラインツアーを実施します。シリアへ物理的に訪れることが難しい今、自宅にいながらシリアの豊かな文化や観光地を体験できます。
「シリアをまた行きたい国にする」という私たちの思いが詰まったリターンであり、ツアーに参加することで、シリアの人たち自身が文化を守ることができる活動にもつながっていきます。
ぜひ下記のリンクから詳細をご確認ください。
https://readyfor.jp/projects/syria2024/announcements/341887