シリアのピース

トルコ便り②【トルコに住むシリア人の声】

アッサラームアライクム。Piece of Syriaのへむりです。
12月半ばまで、トルコに駐在しています。
 
こちらで話を聞いた
 
  ● 閉じ始めた難民キャンプ
  ● シリア人とトルコ人の中で起きた衝突
 
についてお伝えさせていただきます。

閉じ始めた難民キャンプ 

「難民キャンプに行ったんですか?」
「難民キャンプに行きたいんですが、どうしたらいいですか?」
 
そんな質問を投げかけられることは多いのですが、
実は、シリア難民のうち、難民キャンプに住む人は全体の10~20%に過ぎません。

 

 
大多数は、家賃を払って、都会に住んでいるのです。
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ヨルダンでは、難民キャンプが非常に人気がなく、
率先して人が都市へ出ていく、という話をよく聞きました。
 
シリアの状況が落ち着き始めると、その数は非常に増えている、と
ザータリ難民キャンプで働くNGOスタッフから教えてもらいました。
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ヨルダンにあるザータリ難民キャンプ

一方、トルコでは逆に、難民キャンプの人気が非常に高かったのです。
 
キャパシティの問題から断っているものの、キャンプで住みたがるシリアの人たちは多くいました。
 
家賃なし、フードクーポン、食料配給など、恵まれた状況はヨルダンと同じなのですが、なぜかトルコではキャンプの人気が高かったのです。
 
トルコでは合法的に難民が働くことができ、ヨルダンでは働けないにも関わらず。
(今年聞いた話では、ヨルダンも状況が変わりつつある、とも)
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車窓から見えたトルコの難民キャンプ

 
そんな人気の難民キャンプが最近、閉鎖しつつある、とのことです。
 
5万世帯も住んでいる、とされる2つの難民キャンプのうち、1つが閉鎖、
その閉鎖に伴い、引っ越したシリア人家族には引越し費用が支払われるとのこと。
 
が、その数ですので、全世帯への支払いは滞っており、
今までぬくぬくとしたキャンプ生活をしていた人たちが、寒空の下に放り投げられた形です。
 
キャンプに住んでいた時は、外で働いて得た給料は貯金できたのですが、
今では家賃に、食費に、生きていくために働かないとずぐに困窮してしまいます。
 
前回お伝えしたように、トルコは比較的、難民が住みやすい国ではありますが、
「仕事があれば」という前提が必ず付きます。
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起業できるトルコではシリア人が運営するお店も。アラビア語が見える。

 

 

2018年からアラビア語で教える学校は全て閉鎖され、
トルコ人と同じ学校に通うことが義務となったトルコ。
 
トルコ政府の「心変わり」の中で、シリアの人たちは常に不安定な状況となります。
 
「一番の問題は、未来だよ。
 どうなるか分からない。私たちは良い。が、子ども達が心配だ」
 
難民を訪ねる旅を始めた3年前にも聞いた同じ声が、
今もなお、シリア人の口から聞こえてきます。 

シリア人とトルコ人の中で起きた衝突

つい先日、トルコ南部でシリア人による、トルコ人の銃殺事件が起こりました。
 
どうやら、事の発端は、トルコ人側がシリア人女性への暴行があったそうですが、
 そのリベンジとして、被疑者のトルコ人2人を銃殺したとのことです。
 
(こちらについてのニュース記事を探したのですが、出てこないので、
  伝聞ではありますが、複数の人から話を聞いています)

 

※追記(記事を教えてもらいました)

Irish Times 2018.10.7 “Syrians in Turkey face anger and violence”

「シリア難民にトルコ人が殺された」というのは(きっかけはともかく)
世界で最もシリア難民を受け入れているトルコ人の国民感情として、
心地よいものではありません。
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「この事件が起こってから、外に出るものはばかられるんだ」
 というシリア人男性もいるほどです。

 

トルコに住む、一部のシリア人には「市民権」を与えられており、
 トルコ人と同じように海外に行けるほどなのですが、
 
そうでないシリア人については、
 常に不安定さと隣り合わせで生きていかないといけません。

「一番の問題は、未来だよ」

 

 
そんな言葉は、平和な頃のシリアにいた時は一度も聞いたことがありませんでした。
 
ですが、多くのシリア人に出会う中で、絶望よりも希望に出逢うことも多いです。

 

 
「意志があるところに、道は開ける」と、家族のため、
 そして、自分自身の夢や、子ども達の未来のために行動を止めない人たちが沢山います。
 

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