活動報告

「幼稚園の日」に寄せて ー Piece of Syriaが届ける、シリアの未来を支える幼児教育の大切さ

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■11月16日は幼稚園の日!

 

11月16日は、日本初の幼稚園が開園された出来事にちなんだ記念日 「幼稚園の日」です!そこで、幼稚園がシリアの未来においていかに重要な役割を果たすか、そして支援の大切さをお伝えします。

■戦争前のシリア:教育大国から世界最大の難民・避難民を生み出す国へ

 

戦争が始まる以前のシリアは、就学率は99.6%で、誰もが大学まで無償で教育を受けることができ、教育レベルも非常に高いものでした。子どもたちは学校で夢や目標を持ち、未来に希望を抱きながら努力する日々を送っていたのです。

 

しかしながら、2011年から始まった戦争で教育状況は悪化しました。加えて、2023年2月の大地震によって既に壊れていた教育インフラにさらなる打撃を与え、震災から1年以上経った今も、3人に1人しか学校に行くことができていない状況にあります(OCHA、2024.3.3 )。2024年7月の国連報告によると、現在学校に通っていないシリアの子どもの半数は、一度も学校に入学したことがなく、教育を受けたことがありません(OHCHR、2024.6.18)。

 

2011年から続く戦争によって、元の人口の約2100万人のうち、56%が避難生活を送っています。シリアの国外に避難している難民は、世界で最も多い630万人(UNHCR、2024.11.9)。また、避難先は国外だけではなく、国内でも避難をしており、その国内避難民の数は720万人で、世界で2番目に多いです(IDMC、2024.8.26)。

こうした急速な状況の変化の中で、私たちは何ができるでしょうか?

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戦争前、小さな村でも小学校も行き届いており、私立の塾もありました。

■なぜ幼稚園が重要なのか:高等教育までつながる基礎と心のケアを

Piece of Syriaは設立以来、シリア北部で幼稚園の運営を行っています。幼稚園の役割は「基礎教育」「心のケア」「友達とのコミュニケーション」があります。現地調査によると、幼稚園に通えなかった子どものうち、約8割が小学校を中退しており、早期の教育支援が将来的な学業の継続に重要な役割を果たすことが分かっています。

 

内戦による政治的な分断で、シリア北部には公共サービスが届いておらず、また国際機関の支援が「建物(学校の校舎)」に限定され、先生たちの給与がないケースも多いと報告を受けています。

 

また、前述のように、多くの方が避難生活を送っているため、経験がある先生達が地域からいなくなったり、家族を養うために他の仕事を選んでしまうため、教育の質の低下が大きな課題になっています。そのため、幼稚園でアラビア語(国語)、算数、英語などの基礎教育を学ぶことが、小学校に入った時の授業についていける準備となります。

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先生たちの給与を届けることは見落とされがちですが、重要な支援

戦争や地震で、トラウマを抱えてしまった子どもたちも多くいます。学校が空爆されたことで、「学校=怖い」と感じる子どもたちも出ています。特に地震以降、心のケアの重要性は大きく増しています。

 

また、治安が安定せず、空襲・誘拐・犯罪などがあり、子どもたちだけで外で遊ぶことはできません。その結果、友達と遊ぶという習慣がないために、多くの子どもが小学校に入っても集団生活に馴染めず、高い退学率につながってしまっています。

 

そのため、安全で、安心できる場所で友達と遊びながら、読み書きや計算などの基礎的な学習も体験し、楽しみながら社会性を身につけることができる幼稚園という場所が重要になるのです。しかしながら、小中高への支援と比べて幼稚園の重要性は気づかれにくく、もっと手薄でした。

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子どもたちが「友達と遊ぶのが楽しい」と話すことも成果になる状況

■Piece of Syriaの取り組み:2016年から生み出した成果

2016年の設立以降、Piece of Syriaは教育支援を通じて、のべ5万人近くのシリアの子どもたちに学びの機会を提供し続けてきました。また、日本で唯一の幼稚園支援をするNGOであり、のべ1500名以上の子どもたちを幼稚園で受け入れています。

 

当初100人規模で始まった幼稚園ですが、活動を支える寄付者の皆さまの数が年々増えたことで、受け入れ人数も拡大。今年は350名の子どもたちが学費無料の幼稚園に通い、心のケアと基礎教育を受けられる環境を整えることができています。

 

私たちの幼稚園を修了した生徒のほとんどが小学校に進学しています。幼稚園を通して学んだ読み書きや計算の基礎、友達との交流の経験が、小学校での学びを支える土台となり、彼らの教育を途切れさせない力になっています。

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戦争下のため、対立を煽る教育が強制されがちですが、私たちの幼稚園では演劇やスポーツなどのアクティビティを通じて平和的な価値観を育てる教育に力を入れています。

 

また、戦争によって教育機会を失い、未来への希望を持てない子どもたちは、武装勢力への勧誘や犯罪に走るリスクを抱えています。しかし、退学せず学び続けることで、子どもたちは希望を持ち、未来の選択肢を広げることが可能になります。

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■継続的な支援で支えるシリアの教育

 

Piece of Syriaのビジョンは「シリアをまた行きたい国」にすることです。戦争前のシリアは、多くの観光客を引き寄せ、教育の質の高さでも知られていました。その豊かな文化と教育基盤を再び取り戻すためには、シリアの子どもたちが自ら未来を作り出せる環境が必要です。

 

Piece of Syriaは、幼稚園での教育が未来のシリアを担う子どもたちの基礎となると信じています。幼稚園で学んだ子どもたちが成長し、社会の中で自分たちの力で未来を築いていけるよう、学びの機会を提供することが私たちの目標です。

 

現在、Piece of Syriaは組織としての成長も目指しており、それに伴って支援できる子どもたちの数と教育の質をさらに向上させたいと考えています。より多くのご支援が集まることで、幼稚園の運営が安定し、さらに教育の幅や内容を充実させることが可能になります。また、将来的には幼稚園から小学校、高等教育に至るまで、学びの道をサポートする体制を整えたいと考えています。

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先生の教育の質を高めるためのトレーニングも現地では実施しています

 

ご支援のお願い:1日100円のご支援でシリアの子ども一人に教育を

シリアの子どもたちが未来を築く力を養うためには、皆さまのご支援が欠かせません。「幼稚園の日」をきっかけに、どうかPiece of Syriaの活動にご協力いただけませんか?少額の継続支援でも、現地の教育の安定化と充実に大きな力を与えます。

 

シリアでは、戦争と震災で多くの教育機会が失われており、その復興には長い道のりが待っています。しかし、皆さまの支援があれば、私たちはその道のりを一歩ずつ前進し、シリアの子どもたちに希望を届けることができます。子どもたちの明るい未来と笑顔を守るために、ぜひご支援をお願いいたします。

 

■「平和なシリアの担い手を支える教育支援」へのご寄付はこちら
https://piece-of-syria.org/whatyoudo/donation.html

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