NPO法人Piece of Syriaでは、イスラエル・パレスチナにおける武力衝突において多数の死傷者が出ていることを深刻に憂慮し、以下の対応を行います。
国境なき子どもたち、日本国際ボランティアセンター、パルシック、ピースウィンズ・ジャパンが外務省にあてて送付・提出した要請文に賛同いたしました。
https://www.ngo-jvc.net/activity/advocacy/20231011_gazastatement.htm
同じ中東で活動する仲間達と共に、あらゆる暴力行為、特に多くの市民を無差別に攻撃する暴力行為を、国際人道法違反として強く非難し、双方の武力行為の即時停止を求めます。
私たちPiece of Syriaは、シリアを専門とし、活動をする団体であり、パレスチナでは活動しておりません。
しかしながら、そのシリアでは今月に入ってから、イスラエルからのシリアへの空港を狙った空爆のほか、反体制派・政権支配地域・トルコ軍支配地域など、ドローン攻撃・砲撃・空爆などが続いている現状があります。
イスラエルの空爆・地上侵攻や、武装組織によるテロ行為が容認されることがあれば、「それなら、我々もやっていいんだ」と、あたかも「市民の命を奪う、あらゆる暴力行為」が容認されることにもなりかねません。
歴史的にも、現代においても、様々な勢力の思惑によって分断され、直接的かつ構造的な暴力が行使されるイスラエル・パレスチナ問題は、2011年から続くシリアの戦争の本質とも、非常に近しい側面があります。
隣国シリアにて、平和のために活動する私たちにとってのみならず、日本に住む一人ひとりにとっても対岸の火事とはいえないと考えております。その視点から、イスラエル・パレスチナ問題に、想いを同じくする団体と共に、声を上げさせていただきます。
私たちは人道支援団体として、政治的な中立性を重んじながら、支援が届きにくい地域に住むシリアの子ども達への「教育支援」を通じて、復興と平和に貢献する活動を行なっています。
またシリアの文化的・歴史的な魅力を伝えることを通じて、「シリアをまた行きたい国にすること」を目指してきました。それには、シリア1カ国だけではなく、西アジア全体が平和に向かう必要があり、私たちの活動もその一つとして貢献したいと考えています。
対立を煽る形で怒りや憎しみに同調したり、今起こっていることだけを見るのではなく、歴史的な視点を持ち、冷静になって、武力行為の停止のためにできることを考えることが、今回のイスラエル・パレスチナにおける武力衝突に限らず、シリアにおいても大事だと考えます。
その冷静な視点と歴史的なつながりに気付くために、10月18日には、東京外国語大学の青山弘之教授に登壇いただき、「中東で何が起きてる?揺れ動くパレスチナ情勢が変えるシリアのこれから」というテーマでお話を伺いました。
今後もこのような形で、視座を高め、西アジアにおける平和につながる活動を続けて参ります。
報道を見ていると大きな違和感を覚えました。
「民間人に危害を加えない」という言葉です。
空爆そのものによる被害は、目に見える暴力行為です。
しかし、目に見えない暴力もあります。
今、イスラエルでもパレスチナでも、住み続けてきた場所から「二度と戻れないかもしれない」と思いながら避難をしている方々がいます。
僕は、シリアから難民として逃れた人たちから話を聞いてきました。
その中で、こう話す人がいました。
「僕らが住んできた場所には、家がある。土地がある。
親戚や友人達がいる。
仕事もある。学歴も、積み重ねてきたキャリアもある。そこには全てがあったんだ。
だけど、もし、僕らがここを離れたら、
二度と帰ってこられるかわからない。全てを失うことになるんだ。
積み重ねてきた、全てを」
つまり「避難せざるを得ない状況に追い込んでいる」時点で、すでに危害が加わっているのです。「目で見てすぐ分かるもの」だけが暴力ではありません。
そうした視点を伝えることも、僕たちができる平和への貢献だと考えています。
目に見えやすいシリアの報道が減っていますが、僕たちは、シリアという活動地域にこだわり、「かわいそうではなく、尊敬するから応援する」という視点で、彼らと共に、シリアだでなく、西アジア、そして世界の未来を、少しでも良くするために、平和のための教育支援にこだわって活動をしていきます。
特定非営利活動法人 Piece of Syria創設者・代表理事 中野貴行