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Piece of Syria(ピースオブシリア) | メディアが写さないトルコで生活するシリア難民の今
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メディアが写さないトルコで生活するシリア難民の今

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メディアが写さないトルコで生活するシリア難民の今

アッサラームアライクム。
Piece of Syriaの中野です。

 

現在、ラマダンが明け、イスラムの新年にあたる「イード」のトルコにいます。

 

17時間ほどの長距離バスで、南部の方に到着し、街の人口の70%がシリア人と言われる場所までやってきました。

 

街中を走るバスは、イードと言うことで無料でした。街の中心部まで、その無料バスに乗って、友人であるシリア人と合流しました。

 

●失われる故郷

 

まず近くのカフェに連れて行ってくれました。できたばかりでオシャレな雰囲気。
気温は43度と表示されていたので、歩くのも億劫な暑さですが、日陰のオープンテラス、しかも扇風機もしっかり周っていると、案外心地良いです。

 

そのあと、彼の親戚のおうちに一緒に行かせてもらい、新年の挨拶まわりに同行するような形でお宅訪問。ご飯をご馳走になりました。

 

聞くとラッカ(ISが「首都」と定めたシリア北部の町)の出身で、ISがラッカにやって来る前にトルコに避難してきたとのことです。

 

現地から様々情報が届くらしく、数日前にシリアにある自分たちの家の近くに爆弾が着弾したが、家はまだ壊されていないんだ、と言っていました。

しかし、ラッカは建物も道路も産業もボロボロだそうです。

 

 

●見えない壁

 

彼の家へ移動し、荷物を置くと、次はホテルのプールに連れて行ってくれました。

 

五つ星ホテルの地下にあるプールは、ジムやサウナ、スチームサウナとハンマーム(浸かる場所がない銭湯みたいな所)もついていました。

 

彼は、彼女も呼んで、時折、微笑ましいカップルの交流を見せつけてくれます。

 
ですが、その帰り道に話を聞いていると、彼女はクルド系のシリア人、彼はアラブ系シリア人。その民族の違いから、結婚を相手の家族から断られているとのことでした。

 

幸せに見えるカップルに、見えていない壁があることを知りました。

 

 

●何もない生活

 

夜に屋上で、彼と語りました。

 

「何もないんだよ。ここの生活は」

 

出逢った時に勤めていた国際協力団体NGOを辞め、そのあといくつかの団体に所属していた彼ですが、今も転職を考えています。

 

トルコに住むシリア難民にとって、最も待遇が良い仕事が「シリア難民支援」の団体職員でした。

 

しかし、「数ヶ月前から、教育に関するNGOが活動できなくなったんだ。生活支援に関することはできるけど、多くの国際NGOが活動できなくなっているし、シリア難民の労働が認められなくなってきているんだ」と言います。

 
なので、英語を話せて、学歴や経験のあるシリア人たちが、そうした仕事を失い、長時間労働で給料の安い単純労働に従事しつつあるんだそうです。
また、トルコからヨーロッパに向かう難民の数は激減しました。トルコがギリシャへの密航を取り締まりをしているんだそうです。

 
僕が去年、ギリシャのレスボス島に行った時には、トルコからギリシャの島までは来れても、そこから本土、ヨーロッパに向かえない、という状況でしたが、その島までも行けないという話でした。

 
トルコでの仕事はなくなり、ヨーロッパにも行けず、シリアに戻っても仕事がないし、安全もありません。
どこにも希望を見出せずに、トルコ政府の方向転換に左右されて生きていくしか無い現実。

 

同居人たちは仕事を失い、シェアルームの家賃も三分割していたものを一手に引き受けなくてはいけないと言います。

 

そんな現実の中で、シリアにいた時は飲まなかったお酒を飲みながら、笑顔で僕らを歓迎してくれているのです。

 

そんな彼がふとこぼした言葉でした。

 

「ここの生活には何もないんだよ。ただただ生きるために仕事をする。家族とは離れ離れだ。月末にはほとんどお金は残らない。結婚も難しい。自分たちの国はどうなるか分からない。このまま、何もないまま、いつかトルコで死ぬんだ。きっと」

 

 

● 見えなくても、世界にあるもの

 

シリアに関する報道は少なくなりました。
シリア国内についても、こうした難民として各地に生活する彼らの状況についても。

 

見えないからと言って、起こってない訳でありません。

 
空爆や戦闘ほど、ニュースとして大きく取り上げられないですが、今もなお、その戦争もために国外に行かざるを得ない人たちの、厳しい現状が、ここにあります。

 

 

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